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2017 年度 実績報告書

インフラマソーム形成におけるNLRP3リン酸化修飾の生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H05178
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

森田 林平  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00362541)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードインフラマソーム / NLRP3 / 炎症 / タンパク相互作用 / ミトコンドリア
研究実績の概要

LPS刺激マウス骨髄マクロファージのNLRP3を免疫沈降法により回収し、質量分析によりNLRP3のリン酸化部位の同定を試みた。しかし全長のNLRP3アミノ酸配列をカバーすることは予想以上に困難であった。一方、昨年度作製したBTK-KO THP-1細胞クローンではNLRP3インフラマソームの活性化が低下していることが確認できた。
一方、本研究と並行してLPS刺激マウス骨髄マクロファージ中のNLRP3の結合因子を免疫沈降と質量分析により複数同定した。その中でもF-actin調節因子gelsolinに着目して研究を進めた。Gelsolin遺伝子(Gsn)欠損J774-1細胞(マウスマクロファージ株)クローンではnigericin刺激により過剰のcaspase-1の活性化とpyroptosisの誘導が認められた。即ち、gelsolinはNLRP3インフラマソームの形成抑制因子であることが示唆された。加えて、Gsn欠損J774-1細胞ではcaspase-3の活性化も亢進していた。つまりgelsolinはマクロファージの2種類のプログラム細胞死apoptosisとpyroptosisを制御し、炎症環境下でのマクロファージ死を抑制していると考えられる。
その生理的意義を明らかにするため、CRISPR/Cas9システムを用いてGsn-floxedマウスの作製に着手した。現在PCRスクリーニングにより子マウス中にGsn-floxed founderマウスが存在するか確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の目的であるNLRP3リン酸化修飾については技術的な改善が必要であるが、その一方で、LPS刺激マクロファージ中のNLRP3と相互作用する細胞内分子を複数同定した。中でもgelsolinがNLRP3インフラマソームの形成抑制因子であることを見出し、炎症環境下でのマクロファージの生存を促しているというユニークな機能を発揮している可能性を見出した。更に、その生体内での生理的意義の解明に向けて、遺伝子改変マウスの作製に着手できたため。

今後の研究の推進方策

先ず、gelsolinのNLRP3インフラマソーム形成抑制の分子機序を解明する。特にNLRP3インフラマソーム形成の場であるミトコンドリアとの関連に焦点を当てる。具体的にはNLRP3インフラマソーム活性化の際にgelsolinが結合するミトコンドリア膜上の分子を同定し、その後同定された分子の欠損J774-1細胞クローンを作製する。その後インフラマソームの活性誘導に対するプログラム細胞死を評価する。
上記と並行して、Gsn-floxed founderマウスよりマクロファージ特異的Gsn欠損マウスを作製し、炎症モデル(敗血症、痛風、接触性皮膚炎)実験を施行する。野生型及びNLRP3欠損マウスと比較する。一方、腫瘍浸潤マクロファージに対する機能を解明するために、担がんマウスの作製も行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] 延世大学校医科大学(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      延世大学校医科大学
  • [雑誌論文] Notch-mediated conversion of activated T cells into stem cell memory-like T cells for adoptive immunotherapy2017

    • 著者名/発表者名
      Kondo T, Morita R, Okuzono Y, Nakatsukasa H, Sekiya T, Chikuma S, Shichita T, Kanamori M, Kubo M, Koga K, Miyazaki T, Kassai Y, Yoshimura A
    • 雑誌名

      Nature Communications volume

      巻: 8 ページ: 15338

    • DOI

      10.1038/ncomms15338

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multiomic disease signatures converge to cytotoxic CD8 T cells in primary Sjogren's syndrome.2017

    • 著者名/発表者名
      Tasaki S, Suzuki K, Nishikawa A, Kassai Y, Takiguchi M, Kurisu R, Okuzono Y, Miyazaki T, Takeshita M, Yoshimoto K, Yasuoka H, Yamaoka K, Ikeura K, Tsunoda K, Morita R, Yoshimura A, Toyoshiba H, Takeuchi T
    • 雑誌名

      Annals of the Rheumatic Diseases

      巻: 76 ページ: 1458-1466

    • DOI

      10.1136/annrheumdis-2016-210788

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Clathrin heavy chain is an NLRP3 partner for NLRP3 inflammasome activation2017

    • 著者名/発表者名
      森田林平、吉村昭彦
    • 学会等名
      第46回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] Notch シグナルによる活性化 T 細胞からステムセルメモリー T 細胞への転換と免疫療法への応用2017

    • 著者名/発表者名
      近藤泰介、森田林平、吉村昭彦
    • 学会等名
      第21回日本がん免疫学会総会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-07-19  

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