研究課題/領域番号 |
16H05182
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
石野 智子 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (40402680)
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研究分担者 |
橘 真由美 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00301325)
鳥居 本美 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (20164072)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マラリア / スポロゾイト / 肝細胞規制 |
研究実績の概要 |
スポロゾイト時期特異的にron3の遺伝子発現を抑制する目的で、RON3のプロモーターをメロゾイト特異的なものに置換し、かつ薬剤耐性カセットを保有しない組換え原虫の作出を行なっている。前年度までに、negative selectionに用いる選択カセット(yFCU)を導入したRON3 conditional knock-down原虫が作出済みである。当該年度は、選択カセットをGFP発現カセットに置換しようとしたが、RON3の遺伝子座がテロメアに近いためか、テロメア側の配列が欠失するという問題に直面した。そこで、組換えの効率を上げること、および、テロメア領域から少し離れたところで組換えを起こすように、別の遺伝子組換えの手法を新たに導入することに決め、準備が整った段階である。 また、タンパク質相互作用に関連する可能性があるRON3のC末端側に近い領域の組換えタンパク質を合成し、これを用いて特異抗体を得た。スポロゾイトを肝癌由来培養細胞(HepG2)に添加する際に、RON3抗体を共培養することで、スポロゾイトの感染が抗体濃度依存的に抑制されることを見出した。すなわち、RON3の抗体認識領域が、RON3の立体構造上外側に露出しており、スポロゾイトの肝細胞感染において重要な役割を担うことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
領域特異的なRON3抗体を用いてスポロゾイトの肝細胞感染阻害実験を行うことで、侵入に関わる領域を明らかにするための実験系が構築されたから。
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今後の研究の推進方策 |
新たな遺伝子組換え法により、薬剤耐性カセットを保有しない、スポロゾイト特異的ron3発現抑制原虫の作出を継続する。次いで、RON3の全長配列をスポロゾイト時期特異的プロモーターにつないだもの、および、様々な欠失変異を導入したRON3の発現カセットを230p遺伝子座に挿入し、変異型RON3発現スポロゾイトを得る。これらを、マウスに静脈投与すること、あるいは肝癌由来培養細胞に添加することで、肝細胞への感染効率を比較し、RON3のどの領域が肝細胞感染に関わるのかを明らかにする。 さらに、上記で欠失した各領域の部分組換えタンパク質を合成し、それぞれの特異抗体を作出する。GFP発現スポロゾイトと共に肝癌由来培養細胞に添加することで、抗体がスポロゾイトの肝細胞感染を抑制するかどうかを解析する。また、阻害抗体が得られたら、その抗原組換えタンパク質が結合する肝細胞タンパク質を免疫沈降法を用いて同定する。
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