研究課題/領域番号 |
16H05183
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
由井 克之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90274638)
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研究分担者 |
吉田 裕樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (40260715)
木村 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50423637)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マラリア / サイトカイン / T細胞 / 免疫制御 / 抗原 / 感染防御 / 病態 |
研究実績の概要 |
マラリア原虫感染マウスでは、IFN-γを産生するTh1細胞とは異なり、抑制性サイトカインIL-27を産生するTr27細胞が誘導される。Th1細胞とTr27細胞が同じ原虫抗原を認識するのか、異なる原虫抗原を認識するのかを明らかにするため、原虫抗原の解析を開始した。当初の計画では、原虫粗抗原からクロマトグラフィー等により抗原を分画して調べる予定であったが、マウスマラリア原虫に感染したマウスのT細胞が、Plasmodium falciparum抗原にも交差反応を示すことが明らかになり、研究計画に若干の変更を加えた。即ち、マウスマラリア原虫粗抗原から開始するのではなく、P. falciparumの組換えタンパク抗原を用いて、T細胞レベルで交差反応をする抗原をスクリーニングする方法である。共同研究により、組換えタンパクを用いたアッセイをセットアップすることができ、スクリーニングを開始したところである。 T細胞によるIL-27産生をモニターするP28-Venusマウスの作成については、既に研究分担者が作成し、lox遺伝子を除去する交配などを行い、実験を実施する準備段階である。近いうちにp28-Venus マウスを用いた実験を開始することができる予定である。 Tr27細胞のマラリア原虫感染における役割については、実験システムの整備を進めている。特に、IL-27受容体遺伝子ノックアウトマウスとコントロールマウスを用いて、感染防御や病態の違いについて詳細な解析を行っている。IL-27シグナルが、防御免疫と感染病態の各々に影響を与える際の条件が明らかなりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗原解析については、当初の予定から具体的な実施に関わる方針を若干変更したが、強力な共同研究者を得ることができて順調な滑り出しである。p28-Venusマウスについても、作成は成功し、実験を行うことのできるマウスを得るのを待っている段階であり、実験を行うまでは時間の問題となっている。IL-27受容体欠損マウスやIL-27欠損マウスを用いて、IL-27のマラリア原虫感染防御と病態に関する効果に関し、多くのデータを積み上げることができた。1年目の成果としては、順調に進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
原虫抗原解析については、スクリーニングを進め、T細胞レベルでマウス原虫抗原と明確な交差反応を示すP. falciparum抗原を複数個同定する。その上で、これらの原虫抗原に対するT細胞の応答について、Th1タイプとTh27タイプの応答に偏りが生ずるのか明らかにする。 p28-Venusマウスを用いた実験を開始する。マラリア原虫感染のどの時期にT細胞のIL-27応答が生ずるのか、IFN-γ応答と比較しつつ検討する。また、マクロファージなどの自然免疫応答のIL-27とT細胞のIL-27産生時期を比較する。 マラリア感染防御と病態におけるIL-27の役割に関しては、まずIL-27シグナル欠損の影響を明確にする。その上で、自然免疫細胞がIL-27を産生できない場合とT細胞がIL-27を産生できない場合について、原虫感染の防御と病態における違いを明らかにしていく予定である。
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