研究課題
マラリア原虫に感染したマウスのT細胞が熱帯熱マラリア原虫抗原に交差反応を示すことから、愛媛大学の研究グループと共同研究を行った。愛媛大学の作成した熱帯熱マラリア原虫抗原パネルを用いて、マラリア原虫感染マウスCD4 T細胞のIFN-gamma産生とIL-27産生をELISA法で調べた。このスクリーニングの結果、T細胞の認識するマラリア原虫候補抗原を抽出した。IFN-gammaとIL-27産生については、一方に偏って応答を惹起しやすい抗原候補がみいだされており、より精製度の高い抗原を用いて今後検証する予定である。IL-27産生のモニターに関しては、研究分担者の吉田裕樹教授がp28-Venusマウスを作成し、蛍光タンパク発現を確認した。マウスは長崎大学に譲受され、交配中である。十分にマウスの数がそろってから、マラリア原虫感染マウスの細胞によるIL-27p28の発現について解析する予定である。マラリア原虫感染におけるIL-27の役割については、慢性感染モデルPlasmodium chabaudi感染実験系で、慢性期にIL-27が免疫抑制をしているデータを得た。IL-27の産生細胞については、大阪大学の山本雅裕教授と共同研究を行い、IL-27のコンディショナル遺伝子ノックアウトマウスを作成した。このマウスを交配し、T細胞、樹状細胞、マクロファージで各々IL-27産生に欠損のあるマウスを作成中である。これらのマウスを用いて感染実験を行うことにより、どの細胞の産生するIL-27が感染免疫制御に重要なのかを明らかにする実験を計画している。
2: おおむね順調に進展している
研究計画では、Tr27細胞の認識する抗原解析、Tr27細胞の分化誘導機構、T27細胞の役割についてマウスマラリア原虫感染モデルを用いて解析することを計画した。研究実績の概要で示したように、これら3者いずれの領域でも有力な共同研究者を得ることができ、研究は予定通り順調に進んでいる。サイトカインのモニターマウスやIL-27遺伝子のコンディショナル遺伝子ノックアウトマウスは現在交配中であり、これらのマウスを用いる実験を開始することができれば、目標達成に向けて研究は一層の進展を示すと考えられる。
研究はおおむね順調に進んでおり、このまま進める予定である。抗原解析については、より精製度の高い抗原を用いてTr27細胞とTh1細胞の認識する抗原の異同についてさらに解析を進める。Tr27細胞の誘導に関しては、p28-Venusマウスを用いてマラリア原虫感染実験を実施し、感染経過中IL-27を産生する細胞を同定する。また、これらの細胞の感染免疫応答における役割については、T細胞、樹状細胞、マクロファージで各々IL-27産生に欠損のあるIL-27遺伝子のコンディショナル遺伝子ノックアウトマウスを用いて解析を行う。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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