研究課題/領域番号 |
16H05185
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中根 明夫 弘前大学, 医学研究科, 特任教授 (30164239)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / TSST-1 / 毒素性ショック症候群 / オートファジー / 子宮感染 |
研究実績の概要 |
1. TSST-1をマウスの子宮頚管内に投与し、全身への分布を観察したところ、投与24時間後に子宮、脾臓、血清中に高濃度のTSST-1が検出された。この結果は、子宮内のTSST-1が全身を循環する可能性を示唆している。一方、TSST-1のスーパー抗原活性発現を調べるために、TSST-1あるいはスーパー抗原活性欠損TSST-1変異タンパク質(mTSST-1) を子宮内投与し、血清と脾臓抽出液中のIFN-gammaを測定したところ、投与24時間後にTSST-1、mTSST-1ともに血清と脾臓で検出されたが、IFN-gammaはTSST-1投与群のみで検出された。脾臓中のIFN-gammaは投与48時間後まで検出された。
2.Staphylococcus aureus 834株 (wild-type) あるいは TSST-1ノックアウト株 (Δtst) をBALB/cマウスの子宮頚管内に感染させたところ、子宮におけるIFN-gammaはwild-type及びΔtst感染でともに検出されたが、脾臓ではwild-typeのみで検出された。一方、wild-type及びΔtstともに子宮内感染にとどまり他臓器への拡大は認められなかった。これらの結果は、子宮におけるIFN-gamma応答は、TSST-1ではなく菌体が主体であるのに対し、全身では菌体ではなく産生されたTSST-1によるIFN-gamma応答であることを示唆している。
3.S. aureus 834株 (wild-type) あるいは TSST-1ノックアウト株 (Δtst) を経静脈感染させ、脾臓、肝臓、腎臓中の生菌数を経時的に追跡すると、感染早期(3日)では、wild-typeの生菌数が勝っていたが、持続感染期(20日)では、wild-typeとΔtstの生菌数が同等であった。これまでの知見と総合すると、TSST-1によりオートファジーが抑制されることにより、細胞外の菌は効率よく排除されていることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の各項目について、データが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
Septin-7遺伝子欠損マウスの作製については、コンディショナルノックアウトマウス作製に切り替えることによって、計画の推進が可能であると考えている。
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