研究課題
腸内細菌叢はインフルエンザウイルス特異的な免疫応答に役立っているが(Ichinohe et al. PNAS 2011)、そのメカニズムは不明である。低温環境下(6℃)でマウスを31日間飼育すると腸内細菌叢が変化するという報告もあり(Chevalier et al. Cell. 2015)、外気温が腸内細菌に影響を与えることでウイルス特異的な免疫応答に影響している可能性を考えた。そこでマウスを4℃、22℃、36℃で一週間飼育した後、インフルエンザウイルスを経鼻的に感染させると、36℃で飼育したマウスのウイルス特異的なCD8陽性T細胞応答が有意に低下することを見出した。次に各温度で飼育したマウスの盲腸内の糞便からDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢のメタ16S rRNA解析を行った。しかし36℃で一週間飼育したマウスの腸内細菌の数や割合に顕著な変化は認められなかった。次に各温度で飼育したマウスの摂食量を調べると、室温で飼育したマウスと比較して36℃で飼育したマウスでは摂食量が低下しており肺組織においてオートファジーが亢進していることが明らかとなった。そこで、22℃で飼育したマウスの餌の量を自由摂食の半分量に制限したり、rapamycinの投与によってオートファジーを誘導するとすると、自由摂食のマウスと比較して、ウイルス特異的な免疫応答が有意に低下することが分かった。自由摂食のマウスと食事制限を受けたマウスを並体結合により血流を共有させて、インフルエンザウイルスを感染させると食事制限を受けたマウスのウイルス特異的な免疫応答が回復した。そこで腸内細菌由来代謝産物に着目し、酪酸、プロピオン酸、酢酸、グルコースを投与することにより36℃で飼育したマウスで低下していたウイルス特異的な免疫応答が部分的に回復することを見出した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/research/papers/post_115.php