研究実績の概要 |
申請者は、これまでT細胞の活性化・分化における転写因子E2Aと拮抗因子Id2, Id3による転写制御機構の解明を行ってきた。bHLH型転写因子E2Aと拮抗因子Id因子はリンパ球分化・活性化制御に必須であり、エンハンサー機能調節を行うことで、遺伝子発現プログラムを制御する(Miyazaki, et al., Nat. Immunol. 2011)。Id2/Id3欠損T細胞の解析から、E2AとId因子のバランス制御が細胞内メタボリズムに関与する多くの分子を制御することで、細胞の増殖や活性化を制御することを見出した。特に、AKT-mTOR-FoxO経路のKey playerは、E2Aの標的遺伝子であることから、Id因子によるE2Aの転写活性化制御がT細胞の活性化を調節していることを世界で初めて提唱した(Miyazaki, et al., Gene and Development 2015)。その分子機構の詳細に検討し、T細胞の活性化におけるエンハンサーレパトアの確立のプロセスを明らかにすることが本研究の目的である。 この目的のため、ChIP-seq解析によるヒストン修飾やエンハンサーの機能解析、ATAC-seq (Assay for Transposase-Accessible Chromatin using sequence)法によるオープンクロマチン領域の同定を行い、"T細胞の活性化に至るプロセスの全体像”の解明を試みる。
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