研究課題/領域番号 |
16H05209
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
亀岡 淳一 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30261621)
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研究分担者 |
小林 大輝 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 講師 (30769617)
菊川 誠 九州大学, 医学研究院, 講師 (60378205)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アウトカム評価 / カルテ / ピアレビュー |
研究実績の概要 |
教育の評価には、インプット評価(どのような教育が施されているか)、アウトプット評価(終了時にどのような能力が獲得されたか)、アウトカム評価(長期的にどのような人材を生み出したか)の3種類がある。日本の医学教育において、インプット評価・アウトプット評価は検討されてきているが、アウトカム評価(医師になってからどのような診療をしているか)はほとんどなされていない。 そこで我々は、アウトカム評価法としてのカルテピアレビュー法の開発を3段階で計画した。第一に信頼性(評価者間で評価が一致するか)を検討し、第二に妥当性(目的としている能力を測定しているか)を検討し、これらをベースに「初期研修義務化とOSCEの導入によって診療内容の何が変わったか」等の日本の医学教育の諸問題を検討するのが、本研究の目的である。 これまでに、信頼性・妥当性の検討が終了し、今年度は「初期研修を大学病院で行った場合と市中病院で行った場合のその後の診療力の違いは何か」の研究を、全国の研修病院の協力のもとに行う計画であった。しかし、日本国内の卒後3年目の研修医が単独で外来診療を行っている病院が当初予測したよりはるかに少ないため、新専門医制度発足後の外来研修重視の教育が定着するまで待つ方針となった。その間、コアメンバーが集まって、これまでの信頼性・妥当性検討の結果を見直し、評価法・評価項目を修正する作業を行っている。特に、implicitな評価(行間を読むような評価)は、評価者の質に強く依存するため、汎用性を高める目的で、explicitな評価(具体的な項目を多数チェックするような評価)も併用する方向で検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先にも述べたように、計画が遅れている最大の理由は、3年目の研修医が単独で外来診療を行っている病院が当初予測したよりはるかに少なく、予定していた全国の研修病院からの協力がなかなか得られない点にある。第2の理由は、研究代表者が、平成29年4月に、東北大学医学教育推進センターから新設の東北医科薬科大学血液・リウマチ科に異動となり、種々の領域にわたる立ち上げの負担が大きく、本研究へのeffortが大幅に減少した点にある。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の研修医が単独で外来診療を行っている病院が少ない点に関しては、新しい専門医制度(2016年以降の医師免許取得者に適応)で外来診療研修が重視されているため、打開の見込みが生まれつつある。昨年計画し保留した(研修病院へ外来研修の実態を問う)アンケートを実施して、協力依頼を進める方針である。また、評価項目の修正も同時に進め、必要によっては、再度、妥当性検討を実施することも検討する。 研究代表者の異動に伴い研究へのeffortが減少した点に関しては、東北医科薬科大学の教育・診療体制が少しずつ軌道に乗りつつあり、研究へのeffortを徐々に取り戻せると考えている。
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