研究課題/領域番号 |
16H05214
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木澤 義之 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (80289181)
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研究分担者 |
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
宮下 光令 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90301142)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 介入研究 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、主に研究フィールドの同定、研究フィールドで必要とされている課題の明確化、ビデオや冊子を活用したアドバンス・ケア・プラニング(Advance care planning: ACP)のプログラムの開発を進めた。ACPプログラムの開発に当たっては、意思決定のためのツール作成の国際ガイドライン(International Patient Decision Aids Standards: IPDAS)の枠組みに沿って、作成委員会で検討する方法を採用した。ACPはこれからの治療・ケアについて医療上の話し合いのみを行うのではなく、スピリチュアルケアの側面を含め患者が大切にしていることに焦点を当てることを念頭に、プログラム作成を開始した。 研究フィールドとしては、国立がん研究センターの肝胆膵内科と連携し、同科が運営する膵がん患者・家族が治療・ケアの知識を得ながら、主体的に療養に向き合える機会として、「膵がん教室」にACPプログラムの導入を試みることとなった。膵がん教室や類似の教育機会を提供している施設は全国に広がっており、膵がん患者と家族対象に、膵がんや治療、療養生活等についての情報を提供している。膵がん教室では集団を対象とした介入になるために、個別性の高い項目ではなく、今後の個別のACPのきっかけ作りになるようなプログラムが求められると考えられた。 平成29年10月に仮ビデオ・仮冊子を作成し、11-12月にかけて、全国の膵がん教室の医療者と、患者会のメンバーから仮ビデオ・仮冊子のフィードバックを得た。実施可能性や有用性は高いものの、ビデオによる患者への負担に関する懸念が示されたため、ビデオ・冊子の大幅な修正を行った。平成30年度に膵がん教室でACPプログラムの実装を行うべく、国立がん研究センターや全国の膵がん教室のスタッフと検討を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進展させる上で、多方面で必要なステップを踏んで進められている。例えば、研究フィールドの同定、研究フィールドのニーズを真に満たすための現場の医療者との検討会の開催、プログラム開発を行う上での研究の方法論の遵守、患者・家族の視点を得る目的での患者会からのフィードバック、頻回にわたるプログラムツール(ビデオ・冊子)の修正、などが上げられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究フィールドのニーズを真に満たし、科学的妥当性も担保した上で、実施可能性の高いACPプログラムを完成させる。具体的には、ACPんきっかけ作りのビデオ・冊子の完成、膵がん教室におけるACPのきっかけ作りの授業の標準化、ファシリテートのやり方を確立させる。さらに、実際の膵がん教室での運用を開始し、実施可能性の検証、有用性の探索を行う。
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