研究課題/領域番号 |
16H05220
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
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研究分担者 |
内田 隆史 東北大学, 農学研究科, 教授 (80312239)
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312852)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / Pin1 / 肺動脈血管内皮細胞 / eNOS / 肺動脈血管平滑筋細胞 |
研究実績の概要 |
Pin1ノックアウトマウス(KO)を用いて低酸素誘発性肺高血症モデルを作製し、以下の結果を得た。すなわち、野生型マウス(WT)は低酸素により肺動脈圧上昇・右室重量増加・肺動脈壁肥厚が認められ肺高血圧症が誘発されるのに対し、KOでは肺動脈圧上昇・右室重量増加・肺動脈壁肥厚は抑制され肺高血圧は抑制されていた。同時に、細胞増殖の際に亢進が認められるリン酸化Akt・リン酸化Erkの発現は、WTの肺において増加が認められるのに対し、KOではそれらの発現変化は認められなかった。肺動脈圧上昇・肺血管平滑筋細胞の増殖に血管内皮傷害が関与していると仮定し、この内容を検討するために、肺血管内皮細胞を用いたin vitroの実験を行った。培養肺動脈内皮細胞(PAEC)に対するPin1の役割を推定するために、Pin1過剰発現およびノックダウンをmRNAおよびsiRNAのトランスフェクションにより行い、in vivoで認められる現象を考察した。PAECにおいて、Pin1ノックダウンはリン酸化eNOS発現を増加させるのに対し、過剰発現ではリン酸化eNOS発現は変化させなかった。そして、Pin1ノックダウンはアポトーシス活性を抑制するのに対し、過剰発現はアポトーシス活性を促進した。これらの結果は、Pin1は肺動脈血管内皮細胞に対して細胞傷害作用を有し内皮機能を抑制する方向に作用することを意味する。従って、KOマウスの肺高血圧進展が抑制される理由として、Pin1遺伝子破壊により肺血管内皮機能が保持され、そのため肺動脈中膜肥厚が抑制されたものと考えられる。以上より、Pin1は肺血管内皮機能を抑制し肺高血圧症の進展を促進する方向に働く分子であると推察される。
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現在までの達成度 (段落) |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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