研究課題
本研究では、これまでの研究成果に基づき運動機能低下以外に生活習慣病のリスクもあがるサルコペニアの統合的ストレス応答を標的とした新たな治療法の開発を目的としている。前年度の検証結果をもとにヒット化合物をサルコペニアモデルマウスに投与して、筋萎縮抑制効果の検証を行うこととした。細胞で効果を確認出来たヒット化合物が、個体レベルにおいても効果を発揮するために、適切な化合物の投与方法や投与期間などを検討する必要がある。さらにヒット化合物をマウスに投与した際に、どのような方法が筋萎縮抑制効果を高感度に測定できるかを検討する必要がある。平成29年度は、LC/MS/MSのgeneral methodによりヒット化合物の血中濃度を測定する系の確立することができ、筋力測定や運動能力測定に加えて、筋重量や組織学的な解析により筋萎縮抑制効果の解析法を確立できた。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は、前年度の検証結果をもとにヒット化合物をサルコペニアモデルマウスに投与して、筋萎縮抑制効果の検証を行った。腸管吸収や肝臓代謝、胆管や腎臓での排出などの薬物動態は血中濃度に影響することから、同定したヒット化合物をマウスに投与し、LC/MS/MSのgeneral methodで血中濃度を測定した。また、ヒット化合物をトランスジェニックマウスに腹腔投与あるいは経口投与し、筋力測定、運動能力測定を行った。エンドポイントでは、筋を摘出して筋重量を測定し、組織学的な解析を行い、筋萎縮抑制効果を検証した。
平成30年度は、前年度の検証結果をもとに化合物のin vivoでの薬理効果検証とその分子薬理学的機構の解明を行う。具体的 には、抗酸化効果を認める化合物をマウスに投与し、マウスの運動認容性への効果をトレッドミルにて解析する。次に、作用機序を明らかにするために、マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現プロファイル解析を行い、化合物によって制御され る筋萎縮因子あるいは筋肥大因子によって構成される経路を明らかにする。これらの研究実施にはモデルマウスが必須であり、それらの維持にはGenotypingが必要であるため、Genotyping業務を行う研究支援者の雇用を計画している。
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