研究課題
研究室で開発してきた糖鎖バイオマーカー、フコシル化ハプトグロビンの測定を、これまではレクチンー抗体ELISA法で行ってきた。独創的なスクリーニング法によって、フコシル化ハプトグロビンそのものに対する糖鎖抗体の樹立に成功し、がんバイオマーカーとしての有用性と膵がんの肝転移組織でフコシル化ハプトグロビンが多く産生していることを見出した(Oncotarget 9, 2018)。フコシル化ハプトグロビンが異常低値であるがん患者が10%程度存在することに気づき、ハプトグロビンの遺伝子型を調べたところ、Hpt1-1ではフコシル化ハプトグロビンを測定できないことがわかった。Hpt1-1を除いた場合、フコシル化ハプトグロビンのバイオマーカーとしての有用性が高くなることを、ROC解析によって証明した(Clin. Chim.Acta 487, 2018)。膵がん患者の膵液中にEnterococcus Feacalisが高頻度で存在することを発見し、実際の膵がん組織でこの細菌が存在すること、膵疾患患者においてこの細菌の外膜多糖(CPS)に対する抗体が増加していることを証明した(BBRC 506, 2018)。慢性膵炎や膵がんの病態進展に、細菌感染が関与することを示唆する論文で、発表した学生が大学内の優秀論文賞に選出された。がんにおける糖鎖異常は、細胞内の膜タンパク輸送の異常に関連していることを以前から仮説として考えている。Rab11のKO細胞では一部のタンパクの糖鎖構造が大きく変化し、最近Rab11の結合する新規タンパクRELCH/KIAA1468の同定と生物学的機能解析に成功した(J Cell Biol. 217, 2018)。他分野融合研究として、前立腺癌のバイオマーカ-PSA糖鎖異常の検出系を共同開発したり、マウス内耳の糖鎖構造の解析を行った(Sci Report in press)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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