生活習慣、特に食事習慣は動脈硬化と密接に関連していることが知られている。一方、どのような食事を取っているもので、どのような代謝物質が上昇し、動脈硬化につながっているかは明らかとはなっていない。 そこで頸動脈が厚めの者と薄めの者で性・年齢を調整した上でのメタボロームの数値を比較した。 東北メディカル・メガバンク計画、地域住民コホート対象者のうち宮城県の地域支援センターで調査を実施した約17000人から頸動脈内膜中膜肥厚、上位25%、下位25%の者を抽出し、さらに性・年齢を考慮した約2000人を抽出してメタボローム測定を行った。頸動脈エコーはGM-72P00A(パナソニック社)を用いて測定を行った。メタボローム測定はガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)ならびに核磁気共鳴(NMR)を用いて行った。今回はGC-MS由来165化合物とNMR由来37化合物(それぞれhttps://jmorp.megabank.tohoku.ac.jp/201902/metabolitesで公開されているTCIから始まる化合物とTCNから始まる化合物)について検討を行った。メタボロームは必ずしも正規分布しないため対数変換して分析を行った。また化合物は必ずしも全項目測定できたわけでないので、マッチングは行わず性年齢を調整した重回帰分析により頸動脈肥厚群(上位25%)と正常群(下位25%)に統計学的有意差が検出できるかどうかを検討した。有意水準はP=0.05で検討している。 結果 頸動脈正常群1002名、肥厚群993名の測定を実施した。性・年齢を考慮した抽出を行ったため平均年齢は正常群、肥厚群とも約61歳、女性の割合は75%であった。分析の結果、GC-MS由来165化合物中3項目、NMR由来37化合物中9項目で統計学的有意差を検出している。
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