研究課題/領域番号 |
16H05246
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
安田 誠史 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (30240899)
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研究分担者 |
澤田 典絵 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (00446551)
津金 昌一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 社会と健康研究センター長 (40179982)
井上 真奈美 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (70250248)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 要介護認知症 / 登録 |
研究実績の概要 |
JPHC実施5地域6自治体から研究協力を得て、各自治体が電磁的記録として保有している介護保険開始以後の要介護認定審査レコードのうち、JPHC参加者(以下、参加者)56,959人との間で、性、生年月日、カナ氏名、住所の4項目が一致したレコード49,702件の提供を受けた。要介護認定審査レコードから、以下に記す編集作業を経て、参加者の要介護認知症罹患の有無と罹患日が特定されている認知症登録を構築した。研究分担者の山岸の報告(専門医が認知症と診断しかつ要介護認定されている場合を要介護認知症とし、これを黄金律にした場合、主治医意見書の「認知症高齢者日常生活自立度」(以下、「自立度」)がⅠ以上の敏感度は83%、特異度は92%、「自立度」がⅡ以上の敏感度は73%、特異度は96%)に基づき、「自立度」がⅠ以上を要介護認知症とする場合と「自立度」がⅡ以上を要介護認知症にする場合に分けて登録を構築した。 1)「自立度」がⅠ以上のどれかの区分と認定された履歴を有する参加者を特定し、「自立度」がⅠ以上を要介護認知症とする場合の要介護認知症罹患者とした。該当する参加者が初めてⅠ以上のどれかの区分の「自立度」とされた時の認定審査レコードを特定し、そのレコードでの二次判定日(二次判定日が無効値の場合は認定有効期間開始日)を要介護認知症罹患日として採用した。 2)「自立度」がⅡ以上のどれかの区分と認定された履歴を有する参加者を特定し、「自立度」がⅡ以上を要介護認知症とする場合の要介護認知症罹患者とした。該当する参加者が初めてⅡ以上のどれかの区分の「自立度」とされた時の認定審査レコードを特定し、そのレコードでの二次判定日(二次判定日が無効値の場合は認定有効期間開始日)を要介護認知症罹患日として採用した。 なお、要介護認知症登録が可能な期間は、「自立度」が無効値のレコードが少ない2006年以後であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JPHC実施地域のうち本研究への協力が得られた5つの地域すべてにおいて、2006年から2016年までの11年間に渡る要介護認知症罹患者とその罹患日の把握を終え、本研究課題遂行に必須の認知症登録を構築できた。来年度、この登録情報を、構築済みのJPHC参加者のベースライン曝露因子情報とリンケージし、成果発信のステージへ進むことが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、曝露因子の収集時点(1992年から1994年まで)と認知症罹患把握の開始時点(2006年)との間に空白期間があることを考慮する必要がある。本報告時点では、以下のように人年計算を行うことにより、この問題に対処できると考えている。 介護保険の要介護認定を受けるのは、原則として65歳に到達してからであることも踏まえ、JPHC参加者を、(a)2006年1月1日以後に65歳に到達した者(生年月日が1941年1月1日以後の者)と(b)2006年1月1日より前に65歳に到達した者(生年月日が1940年12月31日以前の者)とに分ける。人年計算開始日を(a)では、2006年1月1日以後の65歳到達日に、(b)では2006年1月1日にする。人年計算打ち切り日を、(a)、(b)どちらでも、要介護認知症罹患、死亡、転出、観察打切(2016年12月31日に打切)の4つのイベントのうち、一番早く起こったイベントの日とする。標本ごとに観察人年を計算する。 上記の方法で計算した観察人年を比例ハザードモデルに投入し、ベースラインの曝露因子と要介護認知症罹患との縦断的関連を解析する。 ベースラインの高血圧、糖尿病の既往・現病歴、自主申告肥満度、そして教育歴を潜在的交絡因子とし、ベースラインの喫煙習慣、飲酒習慣、栄養摂取状況、身体活動などを曝露因子として解析を行う。 感度分析として、要介護認知症を認知症高齢者日常生活自立度Ⅱ以上にする場合と、要介護認知症を認知症高齢者日常生活自立度Ⅰ以上にする場合とで、暴露因子と要介護認知症罹患との関連が変化するかを点検する。
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