研究課題
本研究では、2つの大きな研究基盤が既に構築されている。①孤発生心筋梗塞及び心筋梗塞罹患同胞対・糖尿病・高血圧症・肥満などの臨床情報及び、検体サンプルの収集は1994年から2004年まで継続された。15,000例を超える検体バンキングが構築された(横断研究基盤)。②2004年からは50歳以上の地域住民を対象とした北名古屋ゲノム疫学研究(KING Study)が開始された。参加住民は3,975名(男性:1,712名、女性:2,263名)であり、現在もアンケート調査を中心とした前向き研究(縦断研究基盤)が継続されている。これらの検体サンプルを用いて400種類以上の心筋梗塞、糖尿病、高血圧症及び肥満関連候補遺伝子多型の解析が終了している。糖尿病、心筋梗塞、高血圧症、肥満に関しては、単独及び国内・外との共同研究により複数の極めて有意な遺伝子リスクマーカーを既に同定しており、本年度中に遺伝子リスク判定アルゴリズムの構築を図る。北名古屋市では毎年4~12月まで、市民を対象に一般の住民健診、特定住民健診検査項目以外にECGその他の検査項目を増やしたミニドックを実施している。KING Study登録住民は、ミニドックの受診者が参加している。行政の協力を得て、平成27~29年の3年間に亘って、登録住民の住民検診への参加を呼びかけ、面接調査、健診、(可能ならばミニドック)、検体採取を実施する。なお、ゲノム疫学研究の登録住民の健診の再受診率(リピート率)は毎年高く、80%以上である。昨年度は、追跡調査中のKING Study登録者(3975名)の中で、既にゲノムワイド関連解析(GWAS)が実施してある対象の中から64名を対象としてDNAメチル化アレイ(illumine)を用いたゲノムワイドDNAメチル化解析(EWAS)技術を利用したタイピングを実施し、基盤の拡充をはかった。また構築した基盤を基に、国内外の共同研究にも参画し、リスク判定アルゴリズムの構築に関する成果を挙げた。
2: おおむね順調に進展している
満足すべき研究組織体制を構築したことによる。
生活習慣病の疫学研究の目的は、危険因子の同定である。危険因子の同定は疾病の罹患予防に重要な役割を果たす。この目的のために、環境因子、遺伝因子、エピゲノム因子を総合的に解析し、疾病の罹患予防に貢献する方向で研究を推進する。今年度は、更に48名を対象としてDNAメチル化アレイ(illumine)を用いたゲノムワイドDNAメチル化解析(EWAS)技術を利用したタイピングを実施し、昨年度までに測定したGWAS及び候補遺伝子解析で得たSNP情報、臨床(検査)情報とDNAメチル化情報を含めた統合的情報解析を実施する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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