勤労者における心血管疾患及び重大疾病群のリスクスコアの開発

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 16H05251
• 研究機関: 国立研究開発法人国立国際医療研究センター
• 研究代表者: 溝上 哲也 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 部長 (60269074)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: 社会医学 / 勤労者 / リスクスコア / 心血管疾患 / 長期病休

研究実績の概要

１．健康管理データの収集とデータベース構築
参加施設から職域定期健康診断データを収集した。心血管疾患については発症日や傷病名を調べた。連続30日以上の長期病休については病休開始日及び終了日、傷病名、転帰の情報を収集した。在職死亡については死亡年月日、死因を調べた。これらのデータを突合し、解析用のデータベースを作成した。心血管疾患に関する症例対照調査を継続した。
２．糖尿病リスクスコアの開発
７年間の糖尿病発症を予測するリスクスコアを開発した。30～59歳の約4万6千人を対象とし、2016年3月までの糖尿病発症を追跡した。非侵襲モデルでは予測変数として性、年齢、BMI、腹部肥満、喫煙、高血圧を用いた。侵襲モデルでは脂質異常症、空腹時血糖、HbA1cを追加した。予測能を評価するためROC曲線下時面積を計算したところ、非侵襲モデルでは0.73、侵襲モデルでは0.89と良好であった。
３．アウトカムと要因との関連
本集団における危険因子の評価のため、肥満及びメタボリックシンドロームと心血管疾患の関連、喫煙と死亡に関する関連分析を行った。メタボリックシンドロームとの関連については、コホート内で心血管疾患を発症した者とその対照を選定し、両群で発症前4回分の健康診断におけるメタボリックシンドロームの頻度を比較した。その結果、同シンドロームの履歴のない人を基準とすると、その頻度が増加するとともに心血管系疾患のリスクが高まり、3回以上該当した人では約5倍であった。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者の研究室の施設内で移転することになっていたが、当初計画より移転がずれ込み、個人情報保護に適した環境が確保できず、このためデータベース構築に関わる作業を移転後、環境整備が完了するまで延期したため。

今後の研究の推進方策

研究計画に沿って、研究参加施設のデータ収集とデータベースの整備を継続する。2017年度末までに報告された心血管疾患・死亡・長期病休に関するデータを整理し、解析用データベースを構築した後に、重大疾患のリスクスコアの開発を進める。

研究成果

• [雑誌論文] Development and validation of risk models to predict the 7-year risk of type 2 diabetes: The Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study. (2018)
  • 著者名/発表者名: Hu H, Nakagawa T, Yamamoto S, Honda T, Okazaki H, Uehara A, Yamamoto M, Miyamoto T, Kochi T, Eguchi M, Murakami T, Shimizu M, Tomita K, Nagahama S, Imai T, Nishihara A, Sasaki N, Ogasawara T, Hori A, Nanri A, Akter S, Kuwahara K, Kashino I, Kabe I, Mizoue T, Sone T, Dohi S
  • 雑誌名: J Diabetes Investig 巻: 印刷中 ページ: 印刷中
  • DOI: 10.1111/jdi.12809
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Metabolic Syndrome Over 4 Years Before the Onset of Cardiovascular Disease - Nested Case-Control Study. (2018)
  • 著者名/発表者名: Hu H, Nakagawa T, Honda T, Yamamoto S, Nanri A, Konishi M, Okazaki H, Kuwahara K, Hori A, Nishiura C, Kashino I, Imai T, Nishihara A, Akter S, Miyamoto T, Sasaki N, Ogasawara T, Uehara A, Yamamoto M, Murakami T, Shimizu M, Eguchi M, Kochi T, Nagahama S, Tomita K, Kabe I, Mizoue T, Sone T, Dohi S
  • 雑誌名: Circ J 巻: 82 ページ: 830-836
  • DOI: 10.1253/circj.CJ-17-0513.
  • 査読あり / オープンアクセス