研究課題
目的:脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が心房細動(AF)罹病の危険因子として、欧米以外での地域住民を対象とした疫学研究がみられない。そこで都市部地域住民を対象に、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)とBNPのレベル別にその後のAF罹病との関係を検討し、AF罹病予測に寄与することを目的とする。方法:ベースライン時に血漿採血を行い、ANP、BNPを測定し追跡可能な2,828名(平均66.7±10.4歳)を対象とした。同一対象者に2年毎健診実施した。追跡期間中に、健診時心電図上AF、心房粗動、発症登録でAFを同定した者をAF有とした。Cox比例ハザードモデルを用いてANP、BNPレベル別にAF罹病ハザード比(HR, 95%信頼区間)を解析した。調整変数は、吹田AFリスクスコアの構成因子を用いた。ANP、BNPをリスクモデルに投入したときのモデル識別力は、ROC曲線下領域によって評価された。結果:16,584人年の追跡期間中に65名のAF罹病がみられた。ANP<43pg/mLを基準に、ANP≧43pg/mLの群でAF罹病HRは2.67 (1.51‐4.72)であった。また、BNP<18.4pg/dLを基準に、BNP=18.4-99.9pg/dL、≧100pg/dLの群におけるAF罹病HRはそれぞれ2.09 (1.10-4.00)、8.15 (3.27-20.35)であった。ANP、BNPを吹田AFリスクスコアに加えると、C統計値は0.797 (0.750-0.845)から、それぞれ0.811 (0.766-0.856)、0.834 (0.791-0.878)へと増大した。結語:欧米以外の地域住民を対象とした疫学研究において、血漿ANPとBNP高値はAF罹病の危険因子であることが初めて分かった。特にBNPは吹田AFリスクスコアの予測能を上げることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
hANP、BNPの測定が平成30年2月まで行い、それに合わせた追跡データが完備した。それに合わせて、解析を現在行っている。
平成29年度は心不全の危険因子の一つである心房細動のリスクスコアを作成した。ただ、これには心不全が心房細動罹病リスクでもある記載がないので、これを加えてから、平成30年度は古典的リスクを用いて潜在性心不全のリスクスコアを作成する。
地域住民を対象とした心房細動のリスクスコアを、わが国で初めて開発しました。心房細動は心不全の重要な危険インshの一つであり、心不全の研究を行うためには、心房細動のリスクスコアをさくせいひなくてはなりませんでした。
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