研究課題/領域番号 |
16H05276
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
門脇 真 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
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研究分担者 |
柴原 直利 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (10272907)
東田 千尋 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (10272931)
林 周作 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教 (10548217)
山西 芳裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60437267)
山本 武 富山大学, 和漢薬研究所, 助手 (70316181)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 東洋医学 / 漢方薬 / ドラッグ・リポジショニング / インシリコ / 標的タンパク質探索 / 結合シミュレーション / 機械学習手法 / 実験薬理学的検証 |
研究実績の概要 |
前年度に収集した漢方薬、生薬、成分化合物、標的タンパク質に関する様々なビッグデータを解析し、KampoDBという漢方薬のデータベースを構築した。まず、漢方薬、生薬、成分化合物、標的タンパク質の情報を整備し、これらの階層関係を視覚化した。次に、漢方薬や生薬の成分化合物が標的とするタンパク質群の分子機能のオントロジー解析や分子経路のパスウェイ解析を行った。具体的には、漢方薬の各成分化合物が相互作用すると推定される全てのタンパク質を分子機能オントロジー(GOなど)やパスウェイ(KEGG Pathwayデータベースなど)にマッピングし、漢方薬が影響を及すパスウェイを同定することによって、漢方薬の作用機序について生物学的な解釈を行なった。最後に、化合物の化学構造類似性に基づく機械学習やタンパク質の立体構造情報に基づく結合シミュレーションで、漢方薬や生薬の成分化合物が標的とするタンパク質を予測および解析した。標的タンパク質の情報を基に、多様な疾患に対して漢方薬の新しい適応可能疾患を予測した。これらの解析結果をウェブ上で高速に検索して、視覚化するようなシステムを構築し、KampoDBデータベースに実装した。これらの成果を論文にまとめ、現在、論文投稿中である。 さらに、KampoDBデータベースを活用して漢方薬・大建中湯の新規適応疾患探索を行ったところ、大建中湯の薬理作用としてアラキドン酸代謝の抑制、Wntシグナリング経路の抑制が示唆されたため、マウス大腸炎関連発癌モデルで検討したところ、その有効性を明らかにすることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標的タンパク質のデータベース化、漢方薬の薬理作用および副作用の予測システムの開発が順調に進んだ
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今後の研究の推進方策 |
「予測された漢方薬の薬理作用」の臨床知見との比較・検討および「予測された漢方薬の薬理作用」の実験的検証 ・漢方薬の既知の薬理作用の新規作用機序を主に病態モデルにより、実験的検証を行う。 ・予測した漢方薬の新規薬理作用および新規適応可能疾患を文献情報や臨床知見などと比較、検討する。特に、漢方薬の適応外の臨床知見と関連性のある新規薬理作用であった場合、新規適応可能疾患の候補とする。 ・予測した漢方薬の新規薬理作用を優先順位を付けて選定し、主に病態モデルにより新規適応可能疾患として実験的検証を行う。
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