研究課題
臨床研究:高齢癌術後予後増悪因子であるフレイルへの術前介入の有用性の検討については、平成29年度に症例数は一時10例に達したが、その後の同意撤回や手術が介入期間である14日以内に行われるなどにより脱落例が多く、平成30年度末までの累積症例数は29例であり、終了・継続している症例は18例である。基礎研究:平成29年度に1)Wistarラットに癌誘導と運動を同時に行う研究、平成30年度は研究1)の継続と2)先行運動後に癌誘導を行う研究を行った。1)は雄性Wistarラットを用いて腹水肝癌細胞(AH)接種により癌カヘキシーを惹起するのと同時に低強度運動を施行する方法により、対照群(C)、癌細胞接種群(AH)、運動群(Ex)、運動+癌細胞接種群(AH+Ex)の4群比較実験を行ったところ、AH群で筋タンパク分解マーカーの発現増加がみられAH+Ex群ではその発現増加が抑制がみられ、FoxO1、P70S6K発現がAH群で減少する一方AH+Ex群でその減少が抑制されていた。癌カヘキシーによるTNFαの上昇は運動により改善しなかった。筋微小血管床はAH群で減少、AH+Ex群でその減少が抑制され、HIF1αはAH群で増加しAH+Ex群で抑制、リン酸化AMPKも同様の変化を示した。以上から癌カヘキシーに伴う筋萎縮が抑制された機序は、運動による炎症の軽減ではなく筋血流低下に伴う低酸素状態が運動により改善した可能性が考えられた(FASEB J, 2019)。抗炎症マイオカイン(IL-15)の有無による癌カへキシー抑制効果については、運動によりIL-15の血中濃度は増加するが、筋でのIL-15発現はAH群で増加しAH+Ex群で低下傾向にあることから、癌カヘキシー下ではIL-15が筋内に留まり作用が減弱するが運動により筋外にでて作用する可能性が考えられた。2)については、癌カヘキシーによる筋萎縮が先行する運動により部分的に抑制される結果を得ている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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The FASEB Journal
巻: - ページ: 印刷中
10.1096/fj.201802430R
Journal of the American Medical Directors Association
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 509 ページ: 994~1000
10.1016/j.bbrc.2019.01.024
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/geriat/www/jgrpa.html