研究課題/領域番号 |
16H05278
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
須藤 信行 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60304812)
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研究分担者 |
波夛 伴和 九州大学, 大学病院, 助教 (10535983)
高倉 修 九州大学, 大学病院, 助教 (40532859)
古賀 泰裕 東海大学, 医学部, 教授 (60170221)
服部 正平 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (70175537)
吉原 一文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20444854)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経性やせ症 / 腸内細菌 / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
極端なやせを追求する神経性やせ症(anorexia nervosa: 以下ANと略)患者においては、体重を恒常的に増加させることが極めて困難であり、種々の治療に抵抗性を示し、重篤な感染症や肝機能障害を併発して死の転機をとることも珍しくない。ANの早期診断、治療、予防法を開発することは喫緊の課題であるが、未だその取り組みは十分な成果を上げていない。本研究では、AN患者群の糞便中腸内細菌叢を次世代シークエンサーによって解析し、健常者と比較することでその詳細な特徴を明らかにするとともにAN患者の腸内細菌叢を移植した“AN型人工菌叢マウス”を用いて、AN患者に見られる腸内細菌叢の異常が、実際の体重変動や行動特性の発現に関与しているかについて検討している。 平成29年度は、AN患者の腸内細菌を無菌マウスに移植して作製した“AN型人工菌叢マウス”を用いてAN患者の腸内細菌が体重制御や行動特性の発現にどのように影響しているかについて検討した。その結果、“AN型人工菌叢マウス”では、健常女性の糞便を移植して作製した人工菌叢マウスと比較し、体重増加が不良であった。しかしながらどちらの人工菌叢マウスもエサの摂取量は同程度であった。この結果は、“AN型人工菌叢マウス”では、摂取した食事成分から栄養を抽出する効率、いわゆる栄養効率が低下していることを示唆している。次に人工菌叢マウスの行動特性について、我々のグループが開発した“アイソレーター内行動解析法”にて検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、AN患者の腸内細菌を移植したマウスである“AN型人工菌叢マウス”を作製し、その妥当性を確認した。これらのマウスを用いて、AN患者の腸内細菌叢と体重制御および行動特性の発現との関連について、信頼性の高いデータを蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、本研究の最終年度であり、これまでの研究結果を総括し、その成果を積極的に発信していく。実験内容については、我々が開発した“アイソレーター内行動解析法”による行動解析を中心に行う。本法は、ガラス玉覆い隠し行動(marble- burying behavior: MBB)とオープンフィールド法 (open field method: OFT)をアイソレーター内で行うというものだが、人工菌叢マウスの行動特性をコンタミネーションなく正確に評価できるという優れた特徴を有する。
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