研究課題
体内で発生した活性酸素種(Reactive Oxygen Species (ROS))やフリーラジカルが酸化ストレスを引き起こし、様々な疾病の原因になっていることが明らかにされてきた。病態と酸化ストレスの関連性をin vivoで定量的に画像評価できるMRI・EPR(電子常磁性共鳴法)両手法を駆逐した磁気共鳴分子イメージングシステムを利用して、アルツハイマー病(AD)モデル動物において神経変性時および治療介入時の脳内酸化ストレスの動態を経時的に解析した。第一の治療介入薬としてADに対する抗認知症薬として使用されているニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に対しallosteric potentiating ligand(APL)作用を有するガランタミンを用いた。生後3ヶ月、生後6ヶ月のAPdE9マウスに対してガランタミンの薬物代謝動態のデータを参考に投与量を算出し、治療介入を行った。飲用水投与ではマウスの1日飲水量を0.19L/kgとしてガランタミンを30mg/L、60mg/L調整の飲料水を生後3ヶ月、6ヶ月から各開始月齢に連日投与した(それぞれ5.7mg/kg、11.4mg/kg投与の計算になる)。コントロールとしては通常の飲用水投与を生後3ヶ月、6ヶ月から行った。現在、投与終了時点でEPR計測およびモリス水迷路試験を行いコントロール群と比較している。また、評価終了後に脳を摘出して、Aβの量的・質的変化の他、ミクログリアなどの脳内免疫細胞や神経細胞、酸化ストレスマーカーなどの組織学的評価を行っている。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画通りに進んでいる。解析結果を論文としてまとめるように計画している。
ガランタミンの介入実験とともに、自己の骨髄幹細胞による細胞移植治療がADの制圧に向けた治療体系の新たな選択肢になりうるか否かについて判断できる基礎的資料を提供し、ADに対する再生医療臨床試験の準備を整える。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件)
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