研究課題
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)では、酸化ストレスが病初期から病態形成に関与することが明らかにされてきた。本来の内因性抗酸化システムを強化する治療が望ましいが、未だ実現していない。間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell; MSC)はその神経保護作用や免疫調整作用から、脳内酸化ストレスをターゲットとしたAD新規治療法としての可能性がある。本研究は、ADモデルマウスに対するMSC治療介入を行い、MSC治療を新規治療法として確立するための基礎データを獲得することを目的とした。本研究では、ADモデルマウス(APPswe/PS1dE9 マウス)を用い、7.5 ヶ月齢のADマウスと同胞の野生型マウスにMSCと培地のみを静脈内投与した。マウスは9ヶ月齢で解析した。モリス水迷路試験では、MSC治療介入を行ったADマウスは、コントロールのADマウスに比べて空間記憶能が有意に優れていた。また、抗Aβ抗体を用いた免疫組織学的検討では、MSC治療介入を行ったADマウス脳の大脳皮質や海馬において、コントロールのADマウスに比べてAβプラークの総面積が減少していた。脳サンプルを用いたELISA 法によるAβ定量では、MSC治療介入を行ったADマウスでは、コントロールのAD マウスに比べて可溶性Aβ量が減少していた。In vivo EPRイメージング実験では、MSC治療介入を行ったADマウスの大脳皮質におけるレドックス状態はコントロールのADマウスのものに比べて有意に改善していた。また脳の組織学的検討では、MSC治療介入を行ったADマウス脳の大脳皮質ではミクログリアの活性が有意に減少していた一方で、Aβプラーク周囲のミクログリアに着目した場合、MSC治療介入を行ったADマウス脳のミクログリアは細胞体内にAβを取り込む細胞の割合が有意に多かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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