研究実績の概要 |
パーキンソン病は、黒質を中心とした神経細胞の変性を特徴とした緩徐進行性疾患であり、種々の治療にもかかわらず病状は徐々に進行する。近年、家族性パーキンソン病の原因遺伝子が相次いで発見され、その解析を通して孤発性パーキンソン病の病態の解明が試みられつつある。パーキンは最も高頻度に発症する家族性パーキンソン病の原因遺伝子(PARK2)である。我々はPARK2の病態解明を進める中で、細胞内ミトコンドリアおよび核分画においてパーキンと結合した数種類のmicroRNAを同定した。さらに、予備的検討の結果、この中のmiR-132のプロセッシングにパーキンが関与していることが示唆された。本研究ではパーキンソン病モデル培養細胞においてmiR-132制御異常が認められるか否か、およびこのmiRNAが治療ターゲットとなり得るか否かに焦点をあてて検討する。我々はさらに、miR-132の産生にパーキンと関連しているか否かを検証するため、PARK2患者(4名)の皮膚生検により得た線維芽細胞において、その発現を健常対照と比較した。 miR-132およびpre-miR-132の発現をreal-time PCRで比較した。PARK2,4患者はすべてmiR-132、pre-miR-132の発現は健常対照に比較して明らかな低下が認められた。この結果パーキンがmiR-132のprocessing/generationを促進していること、さらにmiR-132の発現抑制がPARK2 の病態の進展に関与していることを強く示唆するものであった。
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