研究課題
当該年度は主に前年度に樹立したパラフィン包埋切片からの次世代シーケンサーによるライブラリー作成用の核酸抽出を行い、血清中とのデータ比較を多数例で行なった。その結果ほぼ45%程度の原発性胆汁性胆管炎患者の検体では血清と肝病理標本に共通する、これまでに報告のない細菌門に属する外来性微生物の16sRNA が同定した。これらについては、同一個体の経時的な追跡により、発症前には検出されず、発症後の検体のみで検出されることを確認した。複数の症例で再現性を持って検出されたため、胆汁性肝疾患の病態形成との関連について、さらに経時的な検討を進めた。その結果、臨床データの改善と共に同外来遺伝子が消退する例も認め、病状の進展とも関連する可能性が示唆された。さらに同遺伝子は分類学上、「門」レベルでの同定にとどまるため、より個体を特定できる「属」「種」レベルでの同定のため、検出のためのプライマー設定を行なった。ただし、「種レベル」まで特異性を高めると検出力が低下することも経験したため、より適切なプライマーの設計が必要であると考えられた。今回認めた細菌門のうち、代表的な菌種を入手し、その核酸をポジティブコントロールとして、デジタルPCRで肝病理組織標本もしくは血液から特異的に検出できる系の設計を行なった。その結果、肝病理検体と同様に血液からも同等の結果を得ることができた。今後今回確立した検出方法の妥当性を他の疾患コントロールなども置いた上で検証し、新しい病態形成メカニズムを提唱することとした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep
巻: 8 ページ: 12542
10.1038/s41598-018-31063-8