研究課題
本年度は当初研究計画に従い「ヒト内視鏡生検組織を用いた高可塑性細胞集団の単離・培養法開発」や「高可塑性細胞の生体投与による大腸炎粘膜再生効果の解析」等を行った。その結果、以下の様な成果を得ている。1. ヒト大腸内視鏡検体を用い、健常粘膜・潰瘍性大腸炎寛解期粘膜・潰瘍性大腸炎活動期粘膜の各々についてオルガノイド培養を実施した。いずれの粘膜を用いてもオルガノイドの樹立は可能であった。2.上記1にて採取したヒト大腸内視鏡検体について解析したところ、健常粘膜の幹細胞領域に限局してUBD遺伝子の発現を認めた。同遺伝子は潰瘍性大腸炎活動期粘膜において腸上皮に広く発現を認めた。同遺伝子の発現は抗TNF-a抗体の治療効果に応じて速やかに抑制された。3. 樹立したヒト大腸上皮オルガノイドについて、Notch活性化及びTNF-a添加刺激を加えると、UBD遺伝子の発現が誘導された。同遺伝子の発現は抗TNF-a抗体の添加により速やかに抑制された。これら結果から、潰瘍性大腸炎活動期粘膜の腸上皮においてNotch及びTNF-a依存的にUBD遺伝子の発現が誘導されることが示された。正常環境の腸上皮において幹細胞領域に限局して発現するUBD遺伝子が、炎症環境においては広範な腸上皮に発現が誘導されることから、UBD分子の発現誘導機構やUBD分子機能が腸上皮の「可塑性」に寄与している可能性が考えられた。また、併せてDSS腸炎マウスへの移植系を確立し、蛍光標識した腸上皮オルガノイドの生着を確認した上で解析を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Crohns Colitis.
巻: 13 ページ: 495-509
10.1093/ecco-jcc/jjy180.