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2016 年度 実績報告書

心血管疾患の多臓器連携機序の解明と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H05295
研究機関千葉大学

研究代表者

眞鍋 一郎  千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628)

研究分担者 藤生 克仁  東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30422306)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード心不全 / 慢性炎症 / 自律神経 / マクロファージ / 慢性腎臓病
研究実績の概要

本研究では、心血管疾患を中心とする生活習慣病の発症機序について、システム間連携の観点から全く新しい理解を進めるとともに、新規治療標的の同定を進めることを目的とする。これまでに心臓が圧負荷に対して脳―心-腎の連携によって恒常性を維持していること、このメカニズムの破綻が心不全を惹起することを見いだしている。また、肥満においては内臓脂肪組織に始まった慢性炎症が他臓器へ波及・拡大することが動脈硬化や2型糖尿病発症に重要であることを見いだした。本研究では、心血管疾患を中心とする生活習慣病の発症・進展機序について、多システム間連携による恒常性の維持とその破綻の観点からその分子機序を明らかにすることを目指す。①腎臓による心筋間質細胞・心筋細胞の遠隔制御機構の解析。腎臓で発現する分泌蛋白・サイトカインの網羅的解析を行った。また、腎臓由来GM-CSFの心臓に対する作用解析を行った。②脳・神経系による心臓・腎臓連携の機序の解析。神経系のシグナルが腎臓集合管上皮細胞に与える作用を解析し、β2受容体シグナルが重要であることを明らかとした。③システム間連携を仲介する新たな分子機序の探索。心臓組織マクロファージの増殖機構について、単球由来のマクロファージの寄与を心不全モデルや老化モデルで解析した。その結果、加齢に伴い単球由来マクロファージの寄与が増加し、それに伴い心臓組織マクロファージのエピゲノムも変動することを見いだした。この変化が、加齢に伴う心機能の低下に寄与している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画の腎臓由来メディエータの解析、神経シグナルによる腎臓やマクロファージの応答について、ほぼ計画通りの解析を行った。また、肥満に加えて老化によっても単球由来マクロファージのエピゲノムが変動するという全く新しい知見を得た。

今後の研究の推進方策

腎臓から心臓への作用機序については、GM-CSFの作用の分子機構の解析を進める。また、腎臓や脳からのシグナルが、心臓における心筋細胞、線維芽細胞、マクロファージの相互作用にどのように作用するかを解析する。これらの解析により、腎臓や脳のシグナルによる新たな心臓恒常性維持機構の解明をめざす。神経による作用については、腎臓に加えて心臓へのβ受容体シグナルの作用解析を進める。RNA-seq、ChIP-seq、ATAC-seqによるゲノムワイドの解析から、重要なパスウェイを同定し、そのシグナル機序への介入による生理学的意義の解析を進める。単球由来マクロファージの病態への寄与について、心不全、老化、肥満における解析を進める。組織マクロファージから単球由来マクロファージへの変遷と、単球由来マクロファージの老化や病態における変化が重なることにより、組織恒常性にどのような変化がもたらされるかを検討する。これらの解析によって同定したシグナル経路や分子について、in vivoでの介入を行い、治療標的としての意義を評価する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A heart-brain-kidney network controls adaptation to cardiac stress through tissue macrophage activation.2017

    • 著者名/発表者名
      Fujiu K, Shibata M, Nakayama Y, Ogata F, Matsumoto S, Noshita K, Iwami S, Nakae S, Komuro I, Nagai R, Manabe I
    • 雑誌名

      Nature Medicine

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1038/nm.4326

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Macrophages in age-related chronic inflammatory diseases.2016

    • 著者名/発表者名
      Oishi Y, Manabe I
    • 雑誌名

      Aging and Mechanisms of Disease

      巻: 2 ページ: 16018

    • DOI

      10.1038/npjamd.2016.18

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] SREBP1 Contributes to Resolution of Pro-inflammatory TLR4 Signaling by Reprogramming Fatty Acid Metabolism.2016

    • 著者名/発表者名
      Oishi Y, Spann NJ, Link VM, Muse ED, Strid T, Edillor C, Kolar MJ, Matsuzaka T, Hayakawa S, Tao J, Kaikkonen MU, Carlin AF, Lam MT, Manabe I, Shimano H, Saghatelian A, Glass CK
    • 雑誌名

      Cell Metabolism

      巻: 25 ページ: 412-427

    • DOI

      10.1016/j.cmet.2016.11.009

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Immunometabolic Regulation of Cardiac Homeostasis and Heart Failure2017

    • 著者名/発表者名
      Manabe I
    • 学会等名
      The 19th Takeda Science Foundation Symposium on Bioscience
    • 発表場所
      武田薬品研修所(大阪府吹田市)
    • 年月日
      2017-01-21 – 2017-01-21
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 心臓-脳-腎臓連携による心臓恒常性の維持と心不全2016

    • 著者名/発表者名
      眞鍋一郎
    • 学会等名
      CVMW2016心血管代謝週間
    • 発表場所
      東京コンベンションホール(東京都中央区)
    • 年月日
      2016-12-16 – 2016-12-16
    • 招待講演
  • [学会発表] Immune regulation of the cardiovascular system2016

    • 著者名/発表者名
      Manabe I
    • 学会等名
      第39会日本高血圧学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-10-01 – 2016-10-01
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      http://plaza.umin.ac.jp/~manabe/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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