研究課題
既知の心筋症関連67遺伝子を対象として、心筋症患者の変異検索を実施し、肥大型心筋症成人症例の約半数でサルコメア変異が見出されるのに対して、小児期発症の肥大型心筋症では約80%の症例にサルコメア変異を中心とする変異が見いだされること、1/3の症例は新生変異であること、1/3の症例では複合変異であることが明らかになった。また、心室中隔の肥大が著明なMVO型の肥大型心筋症ではサルコメア変異はほとんど見出されず、通常の肥大型心筋症とは変異パターンが大きく異なることが判明した。また、既知の原因遺伝子に変異がない進行性伝導障害多発家系2家系の網羅的変異解析を実施したが、両家系に共通する原因遺伝子座のバリアントがなかったことから、少なくとも2つの新規原因遺伝子座の存在が示唆された。さらに、肥大型心筋症を対象とした網羅的変異解析から、複数の症例でFHOD3を見出したことから、FHOD3は新規の肥大型心筋症原因遺伝子であると考えられた。一方、心筋虚血は心筋ストレスの大きな要因であるため、網羅的ゲノム解析で同定した虚血性心疾患関連遺伝子であるMKL1を高発現するトランスジェニックマウスを樹立し、ApoEノックアウトマウスとの掛け合わせ実験から、MKL1の高発現は脂質異常症を伴わない動脈硬化の進展因子であることを明らかにした。加えて、スプライシング制御因子であるRBM20の変異がタイチンを始めとする心筋構成要素のスプライシング異常をもたらすことをin vivoの解析で明らかにした。また、拡張型心筋症の原因遺伝子座がマップされる領域内に存在するNFKBIL1遺伝子がスプライシング制御因子であることに着目した解析を実施し、NFKBIL1が自然免疫やアポトーシスに関わる遺伝子のスプライシング制御を行うことを明らかにし、これが拡張型心筋症の発症因子の一つとなることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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