研究課題
近年のゲノム解析技術の進歩により遺伝性循環器疾患の理解が深まったように思える一方で、より謎が深まった部分も多くある。すなわち健常者や遺伝性疾患患者に、あまりにも多くの変異が存在することが判明し、どの遺伝子変異が、どの程度、疾患表現型に結びついているかは依然として不明である。一方でゲノム編集技術の進歩により、様々な遺伝子改変モデルが簡単に作製可能となり、これまで敷居が高かった遺伝子改変モデルを用いた研究が容易となった。本研究では、これまでに蓄積された遺伝性循環器疾患患者におけるゲノム解析結果をもとに、遺伝子改変ゼブラフィッシュ、遺伝子改変マウス、疾患特異的iPS細胞を用いて、様々な遺伝子改変モデルを駆使して病態解明研究を行ってきた。これまでに候補となる遺伝子変異に関して、in vitroおよびin vivoの疾患モデルの構築をしてきた。これまでに蓄積されてきた遺伝子解析結果から、遺伝性循環器疾患において疾患発症の原因となる候補変異遺伝子の決定を行ってきた。同候補遺伝子の機能解析として、bioinformatics approachによる機能予測解析、培養細胞を用いたin vitro解析、実験動物を用いた機能解析を行ってきた。同遺伝子の機能解析研究においては、野生型遺伝子過剰発現、変異型遺伝子過剰発現および遺伝子機能欠失を、培養細胞や実験動物において導入することにより心臓や血管の変化を観察した。さらに変化をきたした遺伝子機能解析系において、細胞や組織を対象として網羅的遺伝子発現解析等を行うことにより分子機序の探索を行ってきた。それらの解析を通して、疾患発症機序の新たな概念の構築、疾患モデルとしての検証、治療方法開発系の構築、治療方法の開発を行っている。
2: おおむね順調に進展している
これまでに全体研究計画はおおむね順調に進展している。基礎的研究であり、予期しないことは度々生じているが、条件検討等を繰り返すことにより、進展している。
今後は、より多くの遺伝子を対象として、同時に解析が行えるように、基盤技術の整備を引き続き推し進める。また臨床応用を目指すために、治療方法開発の観点から薬剤スクリーニング系の構築等を検討していく。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 1件)
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