研究課題
我々のグループは化学変異剤を用いて、心臓や血管の空間形成に異常をきたす変異体を樹立し、原因となる細胞外マトリックスを発見した。確立されたlht変異体と命名した。この心臓や血管などの空間形成がなされない変異体は、世界で最初のヴァーシカンに点変異を持った動物モデル個体である。どのような未知の生命現象も可視化をすることにより、その理解に格段の進歩をあたえる。心臓や血管が外部から生きたままで可視化できるメダカ変異体と、蛍光蛋白を用いたトランスジェニック魚を組み合わせ、体外から心臓血管形成の評価が定量的に可能とした。蛍光蛋白の色を変えるシステムを確立することにより、再現性の観点からも圧倒的に秀でた研究システムを構築した。メダカゲノムの結果より、メダカとヒトとの間は80%以上の遺伝子を共有していること、心筋・血管系を構成する遺伝子では95%以上のDNA配列がヒトとの間で保存されていることより、小型魚類を用いて得られた心室・血管形成の知見は、ヒトでも共通することがわかった。心血管系の複雑な三次元構造は、異なる前駆細胞の分化・増殖・移動によって達成され、心臓は少なくとも4種類の前駆細胞から分化する細胞群によって構成されることが確認された。正常な循環器器官形成のためには、前駆細胞群が移動するための細胞外マトリックスが必要であることも生体内で確認した。メダカ変異体を用いて可視化した4次元的観察によって、中隔欠損症と肺高血圧症が合併する機序を前駆細胞の移動の点から解明した本研究により解明された全く新しい機序は、動脈硬化やがんの転移時の血管形成に対する創薬のターゲットにもなり、長期的な成果として創薬につながる可能性も高い。動脈硬化に対してのまったく新しい概念からの有効な薬の開発への成果も今後期待できる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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