研究課題
平成30年度における研究計画に沿って3つの方向性で研究を進め、以下の成果を得た。1.線維細胞の血管新生あるいは血管新生阻害薬耐性に対するバイオマーカーおよび治療標的としての検討:マウスモデルを用いた検討ではベバシズマブにより腫瘍内へ集積した線維細胞は、ベバシズマブ投与中止後数日の経過で減少する一方で、血管新生阻害効果は比較的長く持続する。そこでベバシズマブ投与間隔を2倍にしたスケジュールで治療実験を行ったところ、少なくとも両レジメンの抗腫瘍効果には大きな差を認めなかった。以上から、ベバシズマブの投与スケジュールの調整による抗腫瘍効果の最適化の可能性が示唆された。2.線維細胞の免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーあるいは治療標的としての検討:ヒト末梢血単球由来の線維細胞はアロCD8陽性T細胞の増殖刺激作用を有するが、CD8陽性T細胞をIL-2やPMAなどの活性化物質であらかじめ活性化しPD-1発現を増強させると、逆にCD8陽性T細胞の増殖抑制効果を示した。この増殖抑制作用は、抗PD-L1抗体の添加でキャンセルされ、CD8陽性T細胞の増殖は、線維細胞添加なしのレベルまで回復した。マウス皮下腫瘍モデルにおける検討では、線維細胞の腫瘍内投与の併用により抗PD-1抗体による抗腫瘍効果が増強された。以上から、抗PD-1/PD-L1抗体治療下においては腫瘍内線維細胞が抗腫瘍効果の増強に働く可能性が示唆された。3.線維細胞による肺がん細胞のがん幹細胞転化促進メカニズムの解明とその制御法の検討:これまでの成果をCancer Lett 421: 17-27, 2018に発表した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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