研究課題
ラットの下大静脈の両腎静脈間を結紮することにより、右腎をコントロールとして左腎のうっ血状態を評価可能な新しい腎うっ血モデルを確立した。このモデルにおいて、腎臓の生理学的評価、組織学的評価、マイクロアレーによりコントロール右腎とうっ血左腎の遺伝子発現の差を評価した。右腎では腎皮質・髄質血流が保たれるが、左腎では腎皮質・髄質血流が減少していた。加えて、うっ血した左腎では、腎髄質外層の尿細管を中心に低酸素状態が観察され、線維化マーカーや尿細管障害マーカーの上昇が認められた。これらの結果をまとめ、英国科学誌に発表した。この新しい腎うっ血モデルにおいて、オルガネラ内の細胞内タンパク質輸送に関与しているV-ATPase、(プロ)レニン受容体の発現を、real-time PCR、ウェスタンブロット、免疫組織化学染色により評価したところ、V-ATPaseを構成するタンパク質、(プロ)レニン受容体の発現共に減少していた。また、低真空走査電子顕微鏡を用いてうっ血腎の組織を評価したところ、直血管の周皮細胞の脱落が認められた。糸球体ポドサイト培養細胞を用いて、TGFβ-1刺激によるポドサイト障害でのV-ATPaseの役割について評価したところ、V-ATPase阻害薬であるバフィロマイシンにより線維化に関わるαSMAの発現が減少していた。以上の結果より、腎うっ血に伴う腎臓障害に糸球体ポドサイトや尿細管細胞における酸性オルガネラにおけるタンパク質輸送の障害や直血管の障害が関与していることが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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