研究課題
偽性低アルドステロン症II型(PHAII)という遺伝性高血圧性疾患の原因遺伝子として報告されたWNKキナーゼは、腎臓において塩分出納の主たる制御機構の中心分子となり、電解質や血圧を生理的に調節していることを我々は発見しており、本研究課題では、PHAIIの病態解明だけでなく、血管、脂肪分化、筋組織分化などの全身臓器における機能を明らかにした。これらは、水電解質を高血圧や肥満などのメタボリックシンドロームや筋萎縮(サルコペニア)などの一般疾患につなげるという意味で重要な研究と考えられた。具体的には、PHAⅡではKLHL3の発現量低下が起こることを、病態モデルノックインマウスを作成し証明した。(Clin Exp Nephrol. 2018 )。また、糖尿病治療薬であるメトホルミンが、腎遠位尿細管のNa-Cl共輸送体(NCC)のリン酸化を抑制し塩分排泄を増加させることを明らかにした(Metabolism. 2018)。血圧制御因子WNK1キナーゼが,骨格筋においてはFOXO4の転写活性を調節し骨格筋肥大を制御することを発見した。このWNK1-FOXO4シグナルの機能低下がCKDによるサルコペニアの一機序である可能性も示した(Sci Rep. 2018)。さらにProtein Kinase A (PKA) と PKAのアンカータンパクであるAKAPsとの結合を阻害する低分子化合物FMP-API-1は、腎臓集合管のAQP2水チャネルを強力に活性化した(Nat Commun. 2018)。CKDによって蓄積される尿毒素などが腎臓や心臓、骨格筋などにおいてAMPKの機能低下をもたらし、さらなるエネルギー状態不良を生み出すという負のサイクルを解明し、AMPKのエネルギーセンサー機能を介さない直接活性化薬などがCKDの新規治療薬になる可能性を明らかにした(Kidney Int. 2019)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 8件、 招待講演 3件)
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