研究課題
正常値と年齢の影響:人の脳での可塑性誘導をバイオマーカーとして使用する、治療に応用すると言う目的の本研究において、刺激法の基本となる研究が二つ完成した。一つは、如何に安定して可塑性を誘導できるかの研究で、ばらつきの原因を解明して、一つの進歩があった。この内容を"Variability in response to quadripulse stimulation of the motor cortex. Brain Stimul 9; 859-866, 2016 " に発表した。これらのファクターを考慮することにより、安定して効果を誘導できる刺激法を開発している。もう一つは、当初からの予定である可塑性誘導に対する年齢の影響を検討した。年齢とともに、正常者でも可塑性誘導の量が減ることが判明した。この結果は、今後バイオマーカーとして可塑性を使用する時の基礎データとなる。この結果を、The effect of age on the homotopic motor cortical long-term potentiation-like effect induced by quadripulse stimulation. Exp Brain Res (in press)に発表した。バイオマーカー研究:バイオマーカーの研究では、パーキンソン病、アルツハイマー病などで、軽度な症状の時からのバイオマーカーとなるような結果を得ている。脊髄での可塑性の誘導:脳幹刺激と末梢神経刺激をあるタイミングで与えることにより、皮質脊髄路と前核細胞の間のシナプスにspike timing dependent な可塑性を誘導できると言う実験結果が集まり始めている。軸索可塑性誘導研究:シナプス可塑性と軸索可塑性が相補的に働くと言う結果が出て来ている。
1: 当初の計画以上に進展している
正常値と年齢の影響では、一年目ですでに論文が一つ印刷され、もう一つの論文が印刷中となったことは、予定より進展していると言える。軸索可塑性誘導、脊髄可塑性誘導、バイオマーカー研究、paired associative QPS (PAS-QPS)と言う新しい刺激法の開発と、他の研究プロジェクトも順調に進んでいる。
正常値と年齢の影響:すでに一定の結果を得たが、今後更に細かい年齢での可塑性について研究を進める。バイオマーカー研究:パーキンソン病、アルツハイマー病などでの研究を進めるとともに、てんかん、PSP等での検討も始める予定である。脊髄での可塑性の誘導:正常者での結果は、ほぼ終了したので、今後論文作成に取りかかるとともに、治療応用の可能性を探る。軸索可塑性誘導研究:現在の研究を継続する。PAS-QPS研究:可塑性誘導を増強させる新しい刺激法で、二つの刺激を組み合わせる方法を開発している。この研究を進める。薬物影響研究:抗パーキンソン病薬であるA2A受容体阻害薬の可塑性への影響について、研究を始める予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件)
Amyotrophic Lateral Sclerosis and Frontotemporal Degeneration
巻: 18 ページ: 604-610
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