研究課題/領域番号 |
16H05326
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲垣 暢也 京都大学, 医学研究科, 教授 (30241954)
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研究分担者 |
原田 範雄 京都大学, 医学研究科, 講師 (50530169)
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
山根 俊介 京都大学, 医学研究科, 助教 (90582156)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インクレチン / K細胞 / L細胞 / GLP-1 / GIP |
研究実績の概要 |
1) GIP分泌におけるFABP5の役割:免疫組織学的評価から、脂肪摂取後にFABP5が核内から細胞内へ移動することが確認された。 2) GPR120シグナルとのGIP分泌との関連性の検討:GPR120欠損マウスを用いて脂質摂取時のGIP分泌亢進に対するGPR120の役割について検討した。経口コーン油負荷試験(OCTT)におけるGIP分泌量は、野生型マウス(WT)に比してGPR120欠損マウスは50%減少した。コーン油負荷後の血中CCK濃度は、WTに比して GPR120欠損マウスは50%減少しており、経腹壁エコーで算出した胆嚢収縮率は50%低下していた。油負荷後の胆嚢内の胆汁量を用手的に直接測定すると、GPR120欠損マウスはWTの2倍量が残留していた。すなわち、OCTTでのGIP分泌量はCCK濃度や胆汁分泌量と相関関係にあることが判明した。CCKアナログをコーン油と同時に投与した状況下では、GPR120欠損マウスはWTと同等のGIP分泌量へと回復を得た。以上からGPR120はCCKを介してGIP分泌に寄与することが示唆された。 3) L細胞に高発現する分子の単離同定:L細胞の可視化モデルであるグルカゴン-GFPマウスを用いて、上部小腸・下部小腸・大腸におけるL細胞の量的・質的差異を検討した。疫組織学的評価でL細胞数は上部小腸で最も少なく、腸管肛門側に向かって増加し、大腸に有意に多かった。GLP-1はプログルカゴン遺伝子より組織特異的に転写されるためGcg mRNAにて評価したところ、上部小腸L細胞において下部小腸L細胞に比較して有意に高い発現であった。他の腸管ホルモン遺伝子について、下部小腸L細胞においてPYY mRNAの高い発現を、上部小腸L細胞においてCCK mRNA発現の高い発現を認めた。また、上部小腸L細胞にGIP mRNAの有意に高い発現を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPR120欠損マウスの解析は終了し、L細胞可視化マウスのL細胞解析や遺伝子発現を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1) GIP分泌におけるFABP5の役割:FABP5マウスを用いたグルコースおよび脂肪摂取後のマウス小腸の標本を作成、FABP5抗体で染色後、電子顕微鏡で観察する。K細胞のマイクロアレイ解析により、発現プロファイルをFABP5欠損マウス、野生型マウスで比較する。 2) 脂質によるGIP分泌における胆汁の作用点の解明:GPR120欠損およびGPR40欠損マウスを用いてGIP分泌を検討する 3) 腸管内のK細胞とL細胞の分布の違いについての検討:フローサイトメーターを用いて腸管部位ごとに腸管上皮細胞に占めるK細胞およびL細胞数を比較する。
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