研究課題/領域番号 |
16H05332
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 裕 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (70301281)
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研究分担者 |
長谷川 奉延 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20189533)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 疾患特異的iPS細胞 / 下垂体疾患モデル / 先天性下垂体形成不全 |
研究実績の概要 |
先天性下垂体形成不全は小児下垂体機能低下症の中で比較的頻度が高く重症化しうる疾患であるが、その原因、病態は十分に明らかになっていない。また種差が存在するヒト下垂体の分化機構は方法論的困難さのため、これまで明らかにされていない。本研究では、エクソーム解析による網羅的な解析に加えて疾患特異的iPS細胞を用いたin vitroモデルによる病態解析によりその原因を明らかにすると共にヒト下垂体分化機構を解明することを目的とする。私たちはすでに原因が明らかでコントロールとなるLHX4, GLI2変異症例および原因不明の下垂体形成不全症例から疾患特異的iPS細胞を樹立するとともにヒトiPS細胞から下垂体への分化方法を確立した。本研究ではこれらの蓄積と技術を用いて、下垂体形成不全の新たな原因の解明、疾患概念の確立とともにヒト下垂体分化制御機構の解明を目指してきた。方法としては1)ヒトiPS細胞からの下垂体分化プロトコールの確立、2)先天性下垂体低形成症例から疾患特異的iPS細胞の樹立、3)LHX4, GLI2異常による先天性下垂体低形成症例疾患特異的iPS細胞の病態解析、4)原因不明の先天性下垂体前葉、後葉機能低下症例疾患特異的iPS細胞の病態解析、5)原因不明の先天性下垂体前葉、後葉機能低下症例におけるエクソーム解析、責任遺伝子の同定とその証明を用いて本研究を進めてきた。その結果、疾患特異的iPS細胞を用いた先天性下垂体形成不全のin vitroモデル作成に成功した。現在その機序の詳細について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究における方法としては1)ヒトiPS細胞からの下垂体分化プロトコールの確立、2)先天性下垂体低形成症例から疾患特異的iPS細胞の樹立、3)LHX4, GLI2異常による先天性下垂体低形成症例疾患特異的iPS細胞の病態解析、4)原因不明の先天性下垂体前葉、後葉機能低下症例疾患特異的iPS細胞の病態解析、5)原因不明の先天性下垂体前葉、後葉機能低下症例におけるエクソーム解析、責任遺伝子の同定とその証明を用いて本研究を進めてきた。その結果、疾患特異的iPS細胞を用いた先天性下垂体形成不全のin vitroモデル作成に成功した。現在その機序の詳細について解析を進めている。 具体的には原因不明の先天性下垂体低形成症例およびLHX4, GLI2異常による先天性下垂体低形成症例から疾患特異的iPS細胞の樹立に成功した。さらに原因不明の先天性下垂体低形成症例の疾患特異的iPS細胞をin vitroで下垂体分化させるとラトケ嚢胞以降の分化が停止し、下垂体前葉、後葉の形成不全を呈した実際の臨床的表現型に合致していることからin vitro下垂体疾患モデル作成に世界で初めて成功したと考えられた。さらにその機序として視床下部からの増殖因子が欠乏していることが原因であることが明らかになった。またその原因として候補になりうる遺伝子異常を同定し、その確認の実験を行なっている。またLHX4異常症由来の疾患特異的iPS細胞においては通常の条件ではin vitroの下垂体分化が起こるものの、炎症性サイトカイン刺激に対する脆弱性が存在することが明らかになりさらにその機序の詳細について解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の結果を踏まえて下記の内容についてさらに解析を進めていく。 1)原因不明の先天性下垂体低形成症例の疾患特異的iPS細胞における原因解明、詳細な機序の解明 2)LHX4異常症の疾患特異的iPS細胞における原因解明、詳細な機序の解明 3)ヒトiPS細胞から in vitro下垂体分化系を活用したヒト下垂体分化機構の解明
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