研究実績の概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)がコードするtax, HTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子による発がん機構を明らかにする。HBZはATL細胞、HTLV-1感染細胞の形質に大きな影響を与えており、CCR4, PD-1, T cell Immunoglobulin and ITIM domain (TIGIT)の発現を誘導し増殖・浸潤・免疫抑制に関与することが示唆された。これらの分子の発現誘導機構、病態における意義を解析する。成人T細胞白血病(ATL)細胞株においてTaxの間歇的な発現パターンを見出しており、その発現機構、発がんにおける意義を明らかにする。HTLV-1による発がん機構の解明を目指す。 MT-1細胞を用いてシングルセル解析を行い約1%の細胞がTaxを発現することを見出した。しかし、Taxのノックダウンにより2-3週間で全ての細胞が死滅したことからTax発現が間歇的であることが示された。Taxに反応してEGFPを発現するレポーターを導入したところTax発現は間歇的であり、発現時間は平均19時間であることを見出した。Tax発現細胞を分離して、そのトランスクリプトームをRNA-seqで解析した。Taxで発現増加する遺伝子群をピックアップして、シングルセルレベルでの発現解析を行い、Tax陰性細胞でも抗アポトーシス遺伝子の発現に2峰性があることを見出した。この現象を数理モデルを構築して検証した。 HBZによりCCR4遺伝子の発現が誘導されるが、CCR4が組織への遊走、皮膚浸潤に関与していることを明らかにした。
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