研究課題/領域番号 |
16H05336
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松岡 雅雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10244138)
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研究分担者 |
安永 純一朗 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 講師 (40362404)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HTLV-1 / 成人T細胞白血病 / Tax / HBZ / IL-10 / IL-6 |
研究実績の概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)がコードするtax, HTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子による発がん機構を明らかにする。HBZはATL細胞、HTLV-1感染細胞の形質に大きな影響を与えており、CCR4, PD-1, T cell Immunoglobulin and ITIM domain (TIGIT)の発現を誘導し増殖・浸潤・免疫抑制に関与することが示唆された。これらの分子の発現誘導機構、病態における意義を解析する。成人T細胞白血病(ATL)細胞株においてTaxの間歇的な発現パターンを見出しており、その発現機構、発がんにおける意義を明らかにする。HTLV-1による発がん機構の解明を目指す。 MT-1細胞を用いてシングルセル解析を行い約1%の細胞がTaxを発現することを見出した。しかし、Taxのノックダウンにより2-3週間で全ての細胞が死滅したことからTax発現が間歇的であることが示された。Taxに反応してEGFPを発現するレポーターを導入したところTax発現は間歇的であり、発現時間は平均19時間であることを見出した。Tax発現細胞を分離して、そのトランスクリプトームをRNA-seqで解析した。Taxで発現増加する遺伝子群をピックアップして、シングルセルレベルでの発現解析を行い、Tax陰性細胞でも抗アポトーシス遺伝子の発現に2峰性があることを見出した。この現象を数理モデルを構築して検証した。 IL-6ノックアウトにより発がん・炎症が促進されることを見出し、その機序としてIL-10産生亢進、IL-10に対する反応性の亢進があることを明らかにした。そのメカニズムとしてHBZはSTAT1、STAT3と結合して活性を変化させていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-6ノックアウトにより発がん・炎症が促進されることを見出し、その機序としてIL-10産生亢進、IL-10に対する反応性の亢進があることを明らかにした。そのメカニズムとしてHBZはSTAT1、STAT3と結合して活性を変化させていた。
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今後の研究の推進方策 |
IL-10下流シグナルに及ぼすHBZの作用の分子機構を明らかにし、その炎症・発がん促進作用を解明する。
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