研究課題
難治性の急速進行性間質性肺病変(ILD)を合併する皮膚筋炎(DM)および無筋症性皮膚筋炎(CADM)で見出される抗MDA5抗体の病因的意義と病態形成における役割を追究し、同疾患の生命予後改善を図るための研究を遂行し成果を得た。1.筋炎に見られる新規自己抗体が認識する対応抗原の同定: PM/DM患者に新たに見出された新規抗120kDa蛋白抗体の対応抗原として、DNA修復やある種のDNAウイルスの複製に関与する因子であるDDB1(DNA damage protein-1)を同定した。抗DDB1抗体は7例に検出され、6例はPM、1例はDMであった。2.抗MDA5抗体陽性患者の生命予後改善をめざす多施設共同研究: 進行性ILD合併抗MDA5抗体陽性DM/CADM患者を対象とし、ステロイド大量、タクロリムス、シクロホスファミド間歇静注療法を同時に開始する多施設前向き臨床研究を遂行した。最終的に29例を登録し、主要エンドポイントである6カ月生存率89%の成績を得た。これはヒストリカルコントロールであるステップアップ療法の33%に比して有意な向上であった(P<0.0001)。観察期間52週を通じて、抗MDA5抗体価、血清フェリチン値、血清KL-6値、呼吸機能は治療前に比して有意に改善した。また抗MDA5抗体の病原性を想定し、難治症例に対する血漿交換療法の効果を検討する臨床研究を追加した。前記3剤併用療法開始患者を対象とし、4週目までに肺病変が増悪し低酸素血症をきたした場合に、週1-3回の単純血漿交換療法を行い状況により増減した。9例に血漿交換療法を適用し5例の生存例(55.5%)を得た。ヒストリカルコントロールの増悪例で血漿交換療法を行わなかった5例は全例が死亡していた。これらの成績より、3剤併用免疫抑制療法および血漿交換療法の有用性が前向き研究により証明できた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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