研究課題
血清中のペリオスチンの性質について検討した。その結果、血清ペリオスチンの多くは非還元状態では高い分子量を持った多量体として存在し、一部が単量体として存在することが明らかとなった。還元状態では多量体は単量体となることから、分子間ジスルフィド結合により多量体は形成されていると考えられた。単量体を特異的に認識する抗体を取得し、血清での単量体ペリオスチン測定を行った。その結果、特発性肺線維症(IPF)患者において単量体ペリオスチンが上昇しており、IPFの診断において単量体ペリオスチンはKL-6やSP-Dと同等の性能を示し、IPFの予後予測(6ヵ月後の呼吸機能低下)においては、単量体ペリオスチンはKL-6やSP-Dより優れた性能を示した。さらに、総ペリオスチンにおける単量体ペリオスチンの割合は、喘息、アトピー性皮膚炎、強皮症に比べてIPFにおいて高くなっていた。以上より、IPF患者においては単量体ペリオスチンの産生が亢進しており、単量体ペリオスチンの測定がIPFの診断、あるいは予後予測において有用であることが明らかとなった。IPFはヘテロな病態からなる疾患であると考えられており、その予後を予測することは、内科治療の適用、肺移植の早期適用を判断する上で重要となっている。現在、企業との共同開発により単量体ペリオスチンを測定するための診断薬開発を進めており、今後IPFの診断・治療を進める上で有用となると期待される。
2: おおむね順調に進展している
今年度すでに単量体ペリオスチンを特異的に検出するELISAシステムを構築し、IPFの診療における有用性を示すことができた。
当初の目標通り、ペリオスチンのシグナル伝達に関する解析を進めるとともに、ペリオスチンとインテグリンの結合を阻害する物質の検討を進め、ペリオスチンが関与する疾患を標的とした創薬の開発につなげる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 9件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 15件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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