研究課題
ここまでの基礎検討を踏まえ、TSP-1ならびにThrombin・Albumin (内標準) のエピトープを特定する検討を行った。免疫複合体中で抗体と結合する抗原のエピトープ領域以外を切断する消化酵素にはトリプシン、Lys-CおよびGlu-Cを採用し、これらを一度に使用する一斉消化、またはそれぞれの酵素消化を段階的に行う多段階消化について比較検討した。このなかで多段階消化については、使用する消化酵素の順番についても検討した。なお、ここでの検討は既報 (Przybylski, PNAS 1990; Nat Med 2002) も参考に行った。その結果、エピトープ領域以外を消化し、ここで断片化されたエピトープ領域以外のペプチドを免疫複合体から除去するには、トリプシンとLys-Cの組合せが適していることがわかった。続いて、抗体の抗原決定基付近にあると予想されるエピトープ領域ペプチドの溶出を試みた。得られたトータルイオンクロマトグラムとベースピーククロマトグラムを確認したが、質量分析装置の検出感度以上のペプチド (エピトープに相当) シグナルは得られなかった。上記の基礎検討で認められた検出感度を考慮すると、モデル複合体の量が不十であった可能性が考えられた。今後は本研究で確立した条件・手順をもとに実際の患者検体 (複合体量がより豊富な可能性がある) から再度、TSP-1免疫複合体を回収し、内標準を参考に関節リウマチでの疾患エピトープの精密特定を進める。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Immunological Methods
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Clinica Chimica Acta
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