研究課題
エピゲノム制御剤を用いて植物・微生物の休眠遺伝子を覚醒させることにより生物活性が高い化合物を効率よく創出し、我々が確立した革新的スクリーニング法を駆使することによって、これまでの薬剤とは一線を画す新たな作用機序をもつ化合物ヒットを網羅的に探索した。平成30年度は新規天然物の構造展開を行い、多様性に富む化合物を多数生成した。代表的なウイルスと種々のがん細胞に対するスクリーニングを実施、他の微生物への交差活性と作用点を検討した。複数の化合物ライブラリーを構築し、メロテルペノイド系ライブラリーに抗骨粗鬆効果と抗白血病効果を見出した。前者では破骨細胞株においてartrate-resistant acid phosphatase (TRAP)活性を濃度依存性に抑制した。後者の抗白血病効果はEpstein-Barr virus (EBV) やhuman T-cell leukemia virus type I (HTLV-I) によって引き起こされる白血病・リンパ腫に効果を示す一方で、他の白血病細胞には細胞毒性を示さず、ウイルス関連悪性腫瘍に特異的に効果を示すことを見出した。さらにNMR解析にて構造を決定し、成果をChemistry - A European Journalに報告した。生合成経路の再構築と再設計による糸状菌ジテルペノイドピロンライブラリーの構築と生物活性評価を行い、日本薬学会 医薬化学部会の第36回メディシナルケミストリーシンポジウム(京都)にて学会の優秀賞を獲得した。耐性HIVにも効果を示す逆転写酵素阻害剤を見出し、第66回日本ウイルス学会学術集会(京都)等で報告した。ケミカルバイオロジー手技を応用し、学理的な面から医薬品に導き、難治性疾患治療の向上やunmet medical needsに貢献することを目的として研究を行ったが、それに資する成果を得た。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件)
Chemistry - A European Journal
巻: 25 ページ: 1106-1112
10.1002/chem.201805417
Org. Biomol. Chem.
巻: 17 ページ: 780-784
10.1039/c8ob02837k
Biochemical and Biophysical Research Communications.
巻: 503 ページ: 2970-2976
10.1016/j.bbrc.2018.08.079.