研究課題
肺炎球菌は日本人の主な死因の1つである肺炎や髄膜炎の起炎細菌として重要である。近年、現行多糖体ワクチンに含まれない血清型による感染が問題となっていることから、血清型に依存せずに肺炎球菌感染を予防する有効なワクチンの開発および防御免疫機構の解明が求められている。本研究では、リンパ球のNKT細胞の活性化をいかした新規肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンを用いて、感染防御効果およびその効果をもたらす免疫応答の解析を行った。肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチン接種により、濾胞性ヘルパーT (follicular helper T:Tfh)細胞に特徴的なCXCR5分子およびPD-1分子を発現する濾胞性ヘルパーNKT(NKTfh)細胞が誘導され、その後、抗原特異的な胚中心B細胞および高親和性IgG抗体の産生が誘導されることを見出した。また、NKTfh細胞が胚中心B細胞の活性化に重要なインターロイキン-21(IL-21)を産生することを明らかにした。NKTfh細胞の特徴を明らかにするため、NKTfh細胞、non-NKTfh細胞、ナイーブNKT細胞やTfh細胞のRNAシークエンス解析を行い、NKTfh細胞に特異的な発現が示唆される複数の遺伝子を見出した。また、肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンによる抗原特異的高親和性IgG抗体の産生誘導機構を明らかにするために、NKT細胞が産生するIL-21の役割を解析した。NKT細胞特異的IL-21欠損マウスを樹立して解析した結果、NKT細胞由来のIL-21が胚中心B細胞の誘導および高親和性IgG抗体の産生に重要な役割を担うことが示唆された。以上より、肺炎球菌蛋白・糖脂質ワクチンにより、NKTfh細胞という特徴的な細胞が誘導され、IL-21産生を介して胚中心B細胞の誘導および高親和性IgG抗体産生の誘導をもたらすことが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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