研究課題/領域番号 |
16H05351
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)
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研究分担者 |
大熊 喜彰 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, センター病院, 小児科医師 (10609168)
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20246523)
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
高橋 啓 東邦大学, 医学部, 教授 (80216712)
俵 功 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80378380)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 炎症 / 動物モデル / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
動物モデルを用いて川崎病冠動脈瘤形成過程における細胞外マトリックス分子の一つテネイシンC(TN-C)の分子動態の解明と,患者検体を用いて病態診断マーカーとしての有用性を検証するためのレジストリー構築を行なった。動物実験では、C57BL6バックグラウンドでテネイシンC(TN-C)の遺伝子座にLacZ遺伝子をノックインした4週令のレポーターマウスにCandida albicans water-soluble fraction (CAWS) 1mg /dayを腹腔内に5日間連続投与すると,投与後17-21日で、ヒト川崎病急性期と病変に類似した冠動脈壁全層の強い炎症細胞浸潤、平滑筋細胞の壊死、中膜弾性線維の破壊と、病変部にTN-Cの発現・沈着がみられた。ベータガラクトシダーゼ染色によりTN-C産生細胞は冠動脈の中膜の細胞及び、外膜周囲の間質細胞の少なくとも2種類存在することが明らかになった。急性期のTN-Cの発現・沈着は急性期第10病日のヒト剖検組織でも確認できたが、第30病日に炎症が消退すると消失した。しかしながら、CAWSモデルマウスでは投与60日後にも激しい炎症が持続し、動脈壁の著しい破壊が進行した。症例レジストリは厚生労働省「炎症性動脈瘤形成症候群の治療法の選択に関する研究」班と連携し、初回治療前、治療後、第1-14病日の3ポイントで採血,心臓超音波検査で冠動脈病変を評価する。プライマリーエンドポイントは第30病日での冠動脈瘤の有無とし、登録を開始した。血中TN-C濃度の測定及び予備的解析で、入院時の血中TN-C値が高い患者はガンマグロブリン治療不応性を示すリスクが高い傾向が見られ、以前の後ろ向き研究で得られた結果を支持した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度中に、テネイシンCノックアウトマウスを用いた川崎病モデルの病態解析を開始する予定であったが、9月に、飼育中の実験マウスがギョウ虫に感染していることが判明し、クリーンアップした後、繁殖を始めからやり直す必要が生じ、動物モデル実験が半年間できなくなったため、動物実験の進捗が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスのクリーンアップが完了し実験用マウスが準備でき次第、動物モデル作成を再開し、TN-Cノックアウトマウスと野生型の川崎病モデルで、組織学的、分子生物学的に解析して比較する。また、症例レジストリは、プロトコールを簡素化して、初回治療前、治療後の2ポイントの採血とすることにより登録症例を増やし、平成29年度中に200症例の登録を目標とする。
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