研究課題
前年に引き続き、2種類の川崎病モデルを用いた動物実験を行なった。Candida albicans water-soluble fraction (CAWS)によるモデルでは、急性期血管病変部にtenascin-C(TNC)発現が見られ、TNCノックアウトマウスでは野生型と比較して急性期の大動脈基部及び冠動脈の炎症、組織破壊の程度、炎症性サイトカインの上昇が抑制された。培養系でTNCはマクロファージの炎症性サイトカイン産生、M1へのpolarizationを促進、M2へpolarizationを抑制した。さらに炎症性サイトカインIL- betaは、培養系で、病変部のTNC産生細胞である血管平滑筋細胞のTNC発現を誘導し、川崎病急性期にTNCはポジティブループを作って炎症を増強すると考えられた。ヒト川崎病の臨床経過に近い一過性急性血管炎を起こすNod-1リガンドFK565モデルマウスの血中TNC値は急性期に上昇して治癒期に低下することが確認でき、バイオマーカーシミュレーション系になることが確認された。60日後には炎症は完全に消褪したが、明らかな瘤形成は見られなかった。一方、実際の川崎病患者に対するバイオマーカーTNCの有用性を検証するために380例の症例を登録した。現在多くの症例が、小林スコアによる低リスク群では初回治療は免疫グロブリンとアスピリン、高リスク群ではそれにステロイドを追加したRAISEプロトコール に沿った治療を受けるという現状に即して解析した。低リスク群では初回治療有効例も無効例も治療前の血中TNC値に差はなかったが、高リスク群では初回治療有効例の治療前TNC値は、低リスクより有意に高く、高リスク群では治療不応性を予知できることが明らかになった。また、いずれの群でも治療有効例では、治療後のTNCが有意に低下し、治療効果判定指標になることも明らかになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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