発達性およびてんかん性脳症に似た症状を示す本ラットは、てんかん発作が4週齢から6週齢まで観察されるが5週齢がもっとも頻発する。そこで、5週齢の本疾患ラットの脳の組織切片を作成後、病理組織解析を行った。5週齢の野生型、および、ヘテロ、ホモラットの脳組織切片を用いて、HE染色、KB染色、Bodian染色を行い、組織、および、細胞の変化を観察した。その結果、ヘテロ,ホモラットでは脳の一部に組織異常が観察され、特にホモラットでは顕著であった。同組織の電子顕微鏡用切片を作成後、電子顕微鏡にて組織・細胞内器官の形態変化を観察した。その結果、ヘテロ、ホモラットでは脳の一部で細胞の形態異常が確認された。さらに、NeuN抗体(神経細胞を認識・検出)、Olig2抗体(オリゴデンドロサイトを認識・検出)、GFAP抗体(アストロサイトを認識・検出)、Iba1抗体(ミクログリアを認識・検出)を用いて、同組織のウエスタンブロット解析、および、免疫染色解析を行い、各細胞の変動を解析した。その結果、ヘテロ、ホモラットでは脳の一部で細胞群の数的異常が観察された。その変化はホモラットで顕著であった。次に、発作を起こさない時期である9週齢の野生型、および、ヘテロ、ホモラットの脳を用いて同様の免疫染色解析を行った。その結果、9週齢のヘテロ、ホモラットでは細胞群の数的異常が改善傾向にあることが明らかになった。
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