研究課題
高IgE症候群の新規の原因遺伝子を同定するために、高IgE症候群の臨床症状を呈しながら、これまでに報告されている高IgE症候群の原因遺伝子、STAT3, TYK2 (Tyrosine kinase 2), DOCK8(Dedicator of cytokinesis 8), PGM3(Phosphoglucomutase 3)に異常のない高IgE症候群のゲノムDNAを用いて検討を行った。患児の末梢血由来のゲノムDNAから、Agilent社のSureSelect Humanを用いてエクソン領域を濃縮し、次世代シークエンスを実施した。まず、マッピングと次世代シークエンスの品質管理を実施したところ、すべての症例でdepthが20以上の領域が95%以上だった。候補遺伝子に対して、その遺伝子の免疫系での発現、これまでに明らかにされている遺伝子機能、遺伝子変異部位に存在する機能ドメイン、遺伝子多型頻度等のデータベース情報を利用して候補遺伝子変異をフィルタリングした。原因遺伝子の探索を、遺伝形式を仮定しそれぞれの仮説と一致したホモ、ヘテロ、コンパウンドヘテロの変異を抽出した。変異検出を行なったところ1名の高IgE症候群症例当たり約15000個のnon-synonymous遺伝子変異を見出した。その内訳はナンセンス変異が約150個、フレームシフト変異が約150個、スプライス変異が約150個、それ以外のミスセンス変異が約14550個であった。これから、遺伝子の機能、発現、遺伝子の機能ドメインの部位、遺伝子多型の頻度等を考慮に入れて、30個の有力な原因候補遺伝子変異を得た。
2: おおむね順調に進展している
次世代シークエンス、バイオインフォーマテクスが計画通り順調に進展している。
平成28年度に引き続き、全100例の全エクソンシークエンスデータを詳細に解析し、バイオインフォーマティクスにより免疫不全症の原因遺伝子候補を抽出する。変異遺伝子の発現ベクターコンストラクトと患児由来細胞を用いたin vitro機能解析を行い高IgE症候群の原因となる遺伝子変異候補を抽出し、CRISPRノックアウト、CRISPRノックインマウスを作製することにより最終的にその遺伝子変異が原発性免疫不全症の病因であることを証明していく
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
アレルギー・免疫
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