研究課題
我々は、マウス脳のIG-DMRにおいて5-メチル化シトシン(5mC)の脱メチル化中間代謝産物である5-ヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)が特徴的な分布を示し、神経分化に重要な役割を果たす可能性があるというpreliminaryなデータを得ている。IG-DMRの高メチル化異常を示す鏡-緒方症候群(KOS)症例において精神運動発達遅滞が必発であること、また脳に5hmCが大量に含まれていることから、KOSの特に神経組織における解析は重要であると考えられる。患者の脳サンプルに直接アクセスすることはできないことから、患者線維芽細胞からiPS細胞を樹立し、神経系に分化誘導する系を用いて解析を進めた。また罹患児の胎盤を入手し、同様に解析を行った。平成30年度は、KOS欠失症例4例、KOSエピ変異症例3例、KOSと鏡像関係を示すTemple症候群欠失症例1例よりiPS細胞を樹立し、神経幹細胞への分化誘導したのち、我々が開発した酸化バイサルファイト法、パイロシークエンスおよびDNAメチル化ビーズアレイを組み合わせて5hmCと5mCを区別する網羅的メチル化解析(Matsubara et al. Clin Epigenet 2015)を行い、5hmCの分布を解析した。この結果、神経幹細胞では全体に5hmCの含有量が非常に少なく、また細胞株間で計測値にばらつきが大きいことが判明した。また、胎盤組織の解析の結果、胎盤は血液と比較して5hmCの含有量が多く、特に胎盤のインプリンティング制御領域に5hmCが集簇して存在していることが明らかになった。今後、解析する細胞株数および胎盤数を増やし、5hmCとゲノムインプリンティング異常の関係について更に研究を進める。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Horm Res Paediatr
巻: - ページ: 1-8
10.1159/000495800
J Med Genet
巻: - ページ: -
10.1136/jmedgenet-2018-105463