研究課題/領域番号 |
16H05365
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西江 渉 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (20443955)
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研究分担者 |
岩田 浩明 北海道大学, 医学研究科, 特任助教 (20397334)
氏家 英之 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374435)
夏賀 健 北海道大学, 大学病院, 講師 (70645457)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 皮膚病態学 |
研究実績の概要 |
水疱性類天疱瘡は、皮膚基底膜タンパクである17型コラーゲンに対する自己抗体によって生じる自己免疫性水疱症である。本研究の目的は、実際の患者に類似したモデルマウスを作製し、病態解明と新規治療法開発を目指すことである。平成28年度は、リコンビナント全長マウス17型コラーゲンタンパクをTiterMaxやMagic Mouseアジュバントを用い、SJL/J、C57BL/6、BALB/Cマウスの足底皮下へ、4週毎に2回、免疫投与し、マウス17型コラーゲンに対する免疫寛容の破断を試みた。その結果、TiterMaxを用いSJL/Jマウスへ投与するとマウス17型コラーゲンに対する免疫寛容の破断を誘導でき、約半数の個体において耳介等に痂皮とびらんを伴う紅斑と顔面や頭部に脱毛が出現した。病理組織学的に好酸球浸潤を伴う表皮下水疱を認め、蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部にIgG、C3の沈着を伴っていた。これら表現型は、水疱性類天疱瘡患者での所見と極めて類似しており、本モデルが有用な疾患モデルであることを示唆している。一方、C57BL/6では表現型は出現せず、BALB/cでは脱毛を生じたものの蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部へのIgG自己抗体の沈着は認めなかった。従って、水疱性類天疱瘡の表現型の出現は、マウスの系統種に依存していることが解る。また、SJL/JマウスへMagic Mouseアジュバントを用い全長マウス17型コラーゲンタンパクを免疫しても表現型は生じなかったため、免疫方法も重要な因子であることが判明した。今後、改善すべき点としては発症率を向上させる点が挙げられる。そのためには、免疫経路や免疫に用いるタンパク量、免疫するSJL/Jマウスの週令などが、最適化する上で重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
マウスBP180に対する免疫寛容破断という、本研究において最も重要な点を克服したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、発症率の向上を目指す必要がある。現在の方法では、発症率は約50%であるため、新規治療法開発等に用いるには多数の個体を要する。その手法として、免疫回数を最適化することに加え、免疫経路も足底だけでなく腹腔内や尾基部など検討する。また、発症したマウスと未発症マウスの抗マウスBP180自己抗体のエピトープを比較し、発症と強く相関する抗体認識部位の同定を目指す。
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