研究課題/領域番号 |
16H05374
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
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研究分担者 |
高貝 就 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (10447807)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 注意欠如・多動症 / 出生コホート |
研究実績の概要 |
本研究では平成28年度、浜松母と子の出生コホートを活用してASDとADHDの中間表現型候補および危険因子候補を反復的に繰り返し測定した。(1)浜松母と子の出生コホート参加者の出生後1、4、6、10、14、18、24ヶ月および2歳8ヶ月、3歳4ヶ月の時点で小児composite scaleであるMullen Scales of Early Learning(Mullen, 1995)を用いた神経発達評価を、2歳8ヶ月、3歳4ヶ月、4歳6ヶ月の時点でより高度な機能(生活適応力など)をみるVineland Adaptive Behavior Scale(Sparrow, 1984)を施行する。これらの評価に加えて、ASDについては6歳における自閉症診断観察尺度(ADOS-2)を施行し、診断について定量的・定性的に評価している。また、ADHDについては4歳6ケ月および6歳におけるStrength and Difficulty Questionnaire(SDQ, Goodman 1997)およびADHD Rating Scale (ADHD-RS, DuPaulら、1998)を施行し定量的に評価している。(2)浜松母と子の出生コホート参加者の6歳評価時、注視点検出装置Gazefinderを用いた計測を行った。(3)浜松母と子の出生コホート参加者の臍帯静脈血検体のうち、溶血がなく保存状態のよい600例のうち440例において、パーフルオロ化合物(PFCs)の計測を行った。 以上の測定・計測を継続しており、平成29年度も同様の測定・計測を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28,29年度は、浜松母と子の出生コホートにおける計測・測定を中心に進めることを予定していた。この中で、平成28年度は6歳時の発達評価が全体の被検者のうち90%で完了しており、またGazefinderによる計測も同じ速さで進んでいる。一方、臍帯血血清の計測については、解析に時間と費用のかかるパーフルオロ化合物のうち440例が完了したほか、パーフルオロ化合物の血中濃度との関連が深いトリヨードサイロニンの計測が完了するなど、概ね順調に作業が進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、28年度と同様に浜松母と子の出生コホートにおける計測・測定を進める。解析にも一部着手し、部分的なデータから可能な範囲での論文執筆を行う。 本研究の基盤となる浜松母と子の出生コホートのデータは今後より多面的な研究に活用することが可能であり、そのための準備も進めていく。具体的には、4~6歳で採取している体細胞ゲノムサンプルの活用の方法を検討し、ゲノム解析を得意とする研究室との共同研究を模索する。 最終年度である平成30年度に、大掛かりな統計学的解析(自閉スペクトラム症と注意欠如多動症に共通する発症メカニズムの特定)に向けた生物統計学者との協働にも着手する。
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