研究課題
本研究では平成29年度、浜松母と子の出生コホート(HBC Study)を活用して、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の中間表現型候補および危険因子候補を反復的に繰り返し測定した。1)1258名(うち男性648名)の追跡を行った。2)Mullen Scales of Early Learning および Vineland Adaptive Behavior Scaleによる小児神経学的発達指標の計測を継続した。前者については、3歳4ヶ月までの追跡の中で807名の評価を完了した。3)Gazefinderを用いた注視点指標の計測を継続した。6歳までに693名、8歳までに255名の評価を完了した。4)HBC Study参加1258名中、保存状態がよく溶血のない臍帯静脈検体600名を抽出し、そのうち440名分については、昨年度、LC/MS/MSによりパーフルオロ化合物(PFCs)の測定を終えた。今年度は残る160名分について測定を行った。5)HBC Study参加1258名中6歳までの追跡を完了した693名につき、全例に自閉症診断観察尺度第2版(ADOS-2)、ADHD評価尺度、Strength and Difficulty Questionnaireを利用して診断評価・アウトカム評価を行った。現時点で、ADOS-2により、特性傾向も含む自閉スペクトラムの可能性があると示唆された児は91名に上る。得られたデータについては、データクリーニングをすすめた。データクリーニングの方法については今回新たに生物統計家の指導をうけ、標準的なデータクリーニングの手法を援用した。これにより、平成30年度以降の解析が円滑に進むものと期待される。
2: おおむね順調に進展している
1.アウトカム指標の計測が順調に進み、全体の半数以上が完了している。このサンプルサイズでも十分解析にたえる。2.時間的・資金的なボトルネックであったPFCsの解析を完了した。さらに、昨年度同様、中間表現型指標候補(Gazefinder、小児神経発達指標)の測定が順調に進み、データのクリーニングも完了していることから、直ちに解析できる状況にある。しかし、さらにデータの上積みを望めることから、平成30年度でさらに計測を重ね、サンプルサイズを増やす。
1.未着手の遺伝子多型解析を進める。平成30年度上半期に、予算的に対応可能な範囲で一気に進める。2.本格的な解析を行うに当たり、あらたに、統計学を専門とするスタッフの協力を得る。3.積極的に発表・発信を行う。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
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